セブン&アイ「コンビニ専業」で求められる覚悟 社名はセブン‐イレブン・コーポレーションに
東洋経済オンライン / 2024年10月12日 7時30分
アメリカのコンビニは比較的所得が低い顧客が中心だ。厳しいインフレで「中間・低所得者層の消費意欲が減退。たばこ販売の縮小も影響した」(ジョセフ・デピントCEO)ことで、既存店の商品販売は低調だった。
粗利益の大部分を占めるガソリンについても、重要指標である「1ガロン当たりの粗利額」が前期比3%減と想定を下回ったことも痛手だった。
7月にスタン・レイノルズ社長は「第2四半期は価格転嫁を進めることで、プラス効果を期待している。コスト削減も並行し成長につなげる」とプレゼンしていたが、その説明からはギャップのある結果となった。
株価を提案価格以上に引き上げられるか
セブン‐イレブン・ジャパンも営業利益は同8%減の1276億円と減益に終わった。既存店は前年同期比0.2%減となり、増収傾向を維持している競合に比べて見劣りする。「質を重視したこともあり、とくに若年層で『セブンの商品は高い』という認識が広がった」(丸山好道CFO)という。
進捗を踏まえ、日米コンビニとも通期の業績見通しを減益計画へと修正。セブン&アイHDの通期の営業利益予想は5450億円(前期比2%増)から4030億円(同24%減)と、大幅な下方修正を余儀なくされた。
セブン&アイHDは8月までにカナダの同業大手、アリマンタシォン・クシュタールから法的拘束力のない初期的な買収提案を受けている。市場価格を上回る提案だが、セブン&アイは9月初旬、「(提案は)株主価値を著しく過小評価しており、賛同しかねる」旨の返答をしている。
その後、クシュタールから再提案がなされたこともわかっている。価格は1株18.19ドル(約2700円)とみられ、買収提案が伝わる前の株価の約1.5倍に相当する。
井阪社長は再提案について「価格も含め、交渉のプロセスについて開示は控える」とし、現時点でセブン&アイHDがどのような立場をとるかは不明だ。ただ経営陣が独立路線を志向するなら、株価をどのようにして提案価格以上に引き上げられるかが問われる。
10日の説明会では「なぜ本来の企業価値が市場に評価されていないと感じるか」との質問に対し、井阪社長は「なんといっても業績。株主の期待に応えられていない」と話していた。
この点についてグループ内からは「市場にうそをつき続けてきたからだ」と指摘する声も上がる。象徴的なのは、発表の目玉である構造改革についてだ。
そもそも、ヨーカ堂など非コンビニ事業の切り離しは、数年前からアメリカの投資ファンド・バリューアクトが指摘してきたことだった。
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