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インド政治のもろさ示した「世界最大」の選挙結果 議席数が大きく減少、与党が後退した3つの敗因

東洋経済オンライン / 2024年10月14日 17時0分

ベンガルール中心部にはカルナータカ州議会の建物がある。夜間のライトアップが美しく地元の住民が夕涼みに訪れる観光名所にもなっている(写真:yzw/PIXTA)

与党の後退という予想外の展開となった2024年6月の総選挙。盤石に見えたモディ政権だが実は三つ弱点が総選挙前の地方選挙の結果に現れていた。地方政党の潜在力、イスラム教徒の扱い、農民の反乱だ。三期目に入った長期政権もここを押さえておかなければ安心して見ていることはできない。

インドの「底知れない」実力を探ってみた著書『底知れないインド 「最強国家」の実力』より一部抜粋・編集したものを3回に渡ってお届けする。第2回はインド政治の弱点をまとめてみた。

インド政治の弱点

ベンガルールを歩くと、繫栄の中で栄枯盛衰のうねりが続いているインドの経済の素顔の姿を見ることができる。そしてこの町は、経済だけではなく、インドの政治の縮図としての性格も持っている。

メトロや高速道路の起点となっているベンガルール中心部には、カルナータカ州議会の建物がある。戦後ネルーが建てたものだ。夜間のライトアップが美しく、地元の住民が夕涼みに訪れる観光名所にもなっている。

南インドに特徴的なドラビダ建築ではなく、西洋風にも見える建物だ。建設当時の地元政府の権限は強くなく、中央政府の意向によって建てられたのであろう。建物の中央一番高いところには、アショーカピラーがあり、その下にカルナータカ州の象徴である2頭のライオンが組み込まれた紋章がある。

建物の両脇には、インド建国の立役者となった2人の人物、ネルーとアンベドカルの銅像が建てられている。

ネルーは独立したインドに近代化の礎を築いた人物で、イスラム教徒との共存という非宗教の枠組みを作った。そしてアンベドカルはインド憲法の起草者の代表であり、同時に貧しい人たちの立場に立って政治を進めた。2人とも、インド全体の骨格となる理念を唱え、実行した人物だ。

新たに加わった2人の銅像

ところが、最近になって両脇のこの2人に挟まれる形で、中央の一番目立つ場所に2人の人物の馬に乗った銅像が加えられた。いずれも、カルナータカ州の地域のヒーローだ。

なぜ彼らが改めてその価値を見直されることになったのか。この辺にインドの今の変化を見る手がかりがあるように感じた。

地元のアイデンティティーを確認して、新しいインドを作っていこうということなのだろう。もともとこの地域にあった伝統的な権威の再評価だ。マイソール王国であったり、さまざまな地元の勢力、地元の文化であったりする。そういったものを足元から見つめ直し自画像を探そうとするインドがある。

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