インド政治のもろさ示した「世界最大」の選挙結果 議席数が大きく減少、与党が後退した3つの敗因
東洋経済オンライン / 2024年10月14日 17時0分
インドの選挙は単純小選挙区制なので、わずかな得票の差が大きく議席の差につながる。国民会議派の得票率は約43%、インド人民党は36%で、7%の差が2倍を超える議席数の差として現れた。インド人民党一色のインド政治の流れに逆行する目立った動きであるとともに、死票が多いインド式民主主義の怖さも改めて示された。
これは国政とまったく同じ構造だ。
第3の勢力となる地方政党がキャスティングボートを握りながら、あちらについたりこちらについたりと不安定さを加速する。地方政党は、その時々のインフレ等の経済状況、派閥争い、全国政党との政治的な駆け引きなど、その場限りの場当たり的な対応をとることも多く安定しない。これも国政と同じで、カルナータカ州では長く再選を果たした州政権がない。
この選挙でも、州南部ではインド人民党と地域政党の候補者が共倒れとなるケースが多かった。
これに対して、貧困層の保護やイスラム教徒に融和的な政策をとった国民会議派は、元州首相が農業や水問題、雇用などの生活に身近な問題を解決すると訴え、地元の人々の支持を広げた。国民会議派中央のマリカルジュン・カルゲ総裁もカルナータカ州出身のダリット(最下層の被差別民)で、現地入りし積極的にテコ入れをした。
インド人民党敗北の2つ目の要因として指摘できるのが、イスラム教徒の扱いである。
カルナータカ州政権は、2022年に州立学校などでの女子学生のヒジャブ(スカーフ)禁止措置を容認した。2023年4月にはイスラム教徒に割り当てた公務員・公立学校入学などでの留保枠を廃止するなど、イスラム教徒に対して厳しい政策が続いた。
ヒンドゥー・ナショナリズムを推進するインド人民党の中央の意向を汲んだものだといえるだろう。イスラム教徒側の反発もあったものと見られる。
中央政治でもインド人民党は、イスラム教徒を差別する改正国籍法を施行、イスラム教徒が多く住むカシミール地方の特権を廃止し、連邦直轄地に併合するなど、イスラム教徒の反発を生む政策を相次いで打ち出していた。
一方で、ヒンドゥー教徒のほうの票を固められたのかというと、このときやはりインド独特の地方政治の派閥争いが亀裂を広げることになった。インド人民党はモディ首相が現地入りして候補者を応援したが、地元に密着した政策で有権者の心をつかむことができなかった。
ヒンドゥー教徒のなかには、シヴァ神をあつく信仰する「リンガヤット」と呼ばれるコミュニティがある。カルナータカ州ではリンガヤットが人口の20%弱を占めるといわれる。
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