インド政治のもろさ示した「世界最大」の選挙結果 議席数が大きく減少、与党が後退した3つの敗因
東洋経済オンライン / 2024年10月14日 17時0分
2024年の総選挙は、インド人民党の圧勝が予想されていた。経済好調なインドを牽引したモディ首相に3期目を託すことに反対する勢力がいないと思われていたからだ。大半の世論調査や新聞の論調が安定政権の継続を予想していた。
ところが大番狂わせが起きた。
インド人民党は地方政党と連立でかろうじて過半数は維持したものの、単独では議席数を大きく後退させることになった。
インド人民党政権の弱点はどこにあったのか。正直なところ、選挙結果が示すほど大きく後退することは予想できなかったのだが、このままインド人民党が勢力を伸ばしつづけることはないのではないかと感じていた。友人のインド政治の専門家も同様の意見だった。
インドの未来の政治の姿はどのように変わっていくのか。
その手がかりはカルナータカで感じとれるような気がした。総選挙での圧倒的な優勢が伝えられるなかで、インド人民党はカルナータカの地方選挙で惜敗を喫していたからだ。これは1つの地方州の小さな選挙ではあるかもしれないが、筆者にとっては特筆すべき「事件」であった。カルナータカでは総選挙の結果も、インド人民党は大きく後退することになった。
何が起きていたのかを詳しく見ていくと、インド人民党が盤石に見えたインドの将来の政治の盲点を知るうえで忘れてはならないポイントが浮かび上がってきた。カルナータカの政治情勢はインド人民党政権の地方と中央との関係という意味で注目に値する。
カルナータカ州はインド人民党の南インド唯一の政権州だったため、地方議会選とはいえ、カルナータカ州での敗北はインド人民党のアキレス腱を示すものだ。インド人民党としては早めに手を打っておかないと、同じ構造を持った権力基盤のもろさが全国に拡大する恐れがある。
インド人民党の弱点は①地方政党の潜在力、②イスラム教徒の扱い、③農民の反乱だ。勢いを失っていたかに見えた国民会議派の勝利という予想外の展開は、このインドの政権の知られざるもろさを図らずも示すこととなった。
インド人民党は、前回の2019年の総選挙後、当時の州連立与党だった国民会議派とジャナタ・ダル党(世俗派)JD―Sの議員17人を取り込んで辞任させ、信任投票に持ち込むという強引な手法で州政権を奪取した。
しかし、2023年5月のカルナータカ州の議会選(定数224議席)では、最大野党・国民会議派勢力が単独過半数の136議席を獲得し、モディ首相率いる与党・インド人民党から州政権を奪回した。インド人民党は38も議席を減らし、州議会議長と州閣僚12人が落選した。
インド式民主主義の怖さ
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