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CR-Vは燃料電池車の「死の谷」を超えていけるか? クルマの出来は上々だが燃料電池普及の道は…

東洋経済オンライン / 2024年10月14日 8時30分

同時に、モーター出力のピックアップが鋭くなる。しかし、そのレスポンスは過度ではなく、クルマの動きとドライバーの心が融合するような“ほどよいスポーツ感”だ。

総じてCR-V e:FCEVには上級感、上質感、スポーティ性、安心感、疲れの少なさなど、ポジティブな印象を受けた。

しかし、課題は別のところにある。ホンダとして「このクルマを起点にFCEVをどう育てていくのか?」という点だ。

燃料電池車がたどってきた道

そうしたホンダの未来を考えるうえで、ホンダとFCEVとの関わりについて振り返っておきたい。FCEVの実用化に向けた動きは、1990年代後半から2000年代前半にかけて一気に進んだ。

中でも、カリフォルニア州が主体となって立ち上げたCaFCP(カリフォルニア・フューエル・セル・パートナーシップ)には、トヨタ、ホンダ、日産、ダイムラー(現メルセデス・ベンツ)、GM、フォード、ヒョンデなどが参画。

プロトタイプで公道実証をともに行いながら、課題解決に向けた糸口を見つけようとしていた様子を思い出す。

その現場で、筆者はホンダ「FCX」を含めて各社のプロトタイプを数多く試乗したが、当時のFCEVのNVは今と比べるとかなり大きく、走り味は「もっさり」していた。

2000年代後半になると、カリフォルニア州の環境規制であるZEV(ゼロエミッション)法を主体とした対応として、ホンダは燃料電池を自社開発。専用設計の車体を持つクラリティ FUEL CELLの生産を、国内のパイロットラインで始めた。

2015年には、「水素元年」と称して日本政府が新たな水素戦略を掲げ、まずはトヨタ「MIRAI」が登場。当時、トヨタ本社の近隣で詳しく取材したが、担当主査は「見た目も走り味も、普段づかいできる、かっこいい乗用セダンを目指した」と開発コンセプトを熱く語っていた。

その翌年の2016年、ホンダも「乗用としての使い勝手と、スポーティで先進的な外観」を兼ね備えた2代目クラリティを世に送り出す。

だが、FCEVは、いわゆる「死の谷」を越えられなかった。死の谷とは、市場で普及するためのコストや社会受容性のハードルを指す、マーケティング用語だ。

FCEVは少量生産でコストが高く(=新車価格も高い)、FCEV専用の水素インフラの拡充もネックとなった。

そうした死の谷を越えるためにホンダが選んだ道が、GMとの共同開発だ。互いの知見を持ち合い、そして量産効果によってコストを下げようという目論見である。

すでにコストは1/3。さらなる量産効果を目論む

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