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漫画の進化系「ウェブトゥーン」市場を席巻する訳 スマホ時代に適応した"新しい形式"として注目

東洋経済オンライン / 2024年10月14日 11時0分

スマートフォン時代に適応した漫画の新しい姿ともいえる「ウェブトゥーン」について解説します(写真:mayucolor/PIXTA)

『鬼滅の刃』の経済規模は約1兆円といわれるなど、いま漫画ビジネスは、日本の次なる輸出産業として活況を呈している。

今回は、漫画の新しい姿ともいえる「ウェブトゥーン」について、漫画専門のシンクタンク代表である菊池健氏の著書『漫画ビジネス』から、一部を抜粋してお届けする。

ウェブトゥーンビジネスの始まり

ウェブトゥーンとは、スマートフォン上で読むことに特化した縦スクロール形式のカラーコミックを指します。2010年代中盤から日本でも定着し始めたこの形式は、従来の横読み漫画とは異なり、スマホ画面に最適化されたコマ構成とセリフ配置が特徴です。

世界市場の概況として、中国のリサーチ企業・QYResearchによると、2021年のウェブトゥーン市場規模は約5300億円で、2028年には約3兆8500億円まで成長すると予測されています(※QYResearch〈2023〉「ウェブトゥーンの世界市場レポート2023-2029年」)。この成長は、コミック販売だけでなく、映像化やライセンス収入も含んでいます。

ウェブトゥーンの起源は韓国にあり、2003年頃からウェブサイトでの本格的な掲載が始まりました。2010年代中盤には「待てば無料」というビジネスモデルが確立し、マネタイズが容易になりました。

また、動画配信サービスの台頭と相まって、ウェブトゥーンの映像化が増加し、ビジネスを成長させました。

日本では、2013年のcomico開始を皮切りに、ウェブトゥーンが意識され始めました。

2020年頃から『俺だけレベルアップな件』(DUBU、Chugong/D&CMEDIA)、『女神降臨』(yaongyi/LINEマンガ)などのヒット作が登場し、注目度が高まります。現在、ピッコマ、LINEマンガ、comicoが日本国内では主要なプラットフォームとなっています。

日本のウェブトゥーン市場は、2022年時点で約500億円と推定されています。これは電子コミック市場の約10%に相当します。ウェブトゥーンの制作方法に関しては、韓国では個人制作で人気が出たものが、のちに分業制のスタジオ制作になり、連載ペースを早めるというようなかたちが見られました。

日本でもウェブトゥーンスタジオが増加

日本でcomicoができた当初は個人作家がほとんどでしたが、近年、日本でもウェブトゥーンスタジオが増加しており、コミチ社の調査によると、2021年末から2023年中盤にかけて、スタジオの数が23から約80へと急増しています。

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