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「死の疑似体験」で彼女が気づいた"母子の呪縛" 「手放す」ことではじめて実感できる関係もある

東洋経済オンライン / 2024年10月14日 19時0分

だから自分にとってもっとも大切なのは母親で、きっと最後のカードも「母」になるだろう。そう思っていたものの、残り少ないカードに入っていた「一人旅」が気にかかります。そして最後の1枚になったのも、その「一人旅」だったのです。

「病気がちな母親と、あえて離れる時間が大切だと思っているのかもしれない。一緒にいる時間が長いと、母親の体調が悪いとき、どうしても自分の心もざわついてしまい、『どうしよう』と混乱するような気持ちもわき出てきてしまう。だから少し距離を置いて、母と一緒に気持ちが落ち込んでしまうことを避けたいと感じているから、『一人旅』が最後に残ったのではないか」と、あとになって清水さんは口にしてくれました。

清水さんが「死の体験旅行」を知ったのは、勤めている会社の日報でした。キャリアアップに詳しい、信頼する先輩社員がこのワークショップを受講したことを書いていて、ついつい怠けがちな自分にとってなにが大切かを内省したいと思ったのだそうです。

人生を俯瞰し、思考の癖を変えるきっかけに

その期待どおり、自分のモチベーションの方向性がわかったと言います。自分の軸には強い好奇心があって、いろいろなところに行ったり食べたりしてみたいと思っているということ。さらには、自分にとっての「やらなきゃいけないこと」や「やりたいこと」がはっきりしたとも言います。

受講以前は、お世話になった人々や、とくに苦労して育ててくれた母に恩返しをしなくてはならないという気持ちが大きく、なかば義務のように感じていました。

しかし受講後は、その思いは決して義務ではなく、恩のやりとりで築く関係性に幸せを感じている自分に気づいたのだそうです。

「恩返しは『やらなきゃいけないこと』から『やりたいこと』にアップデートされたんです」。そう、清水さんは口にしました。

同時に清水さんは、自分には目の前のことに集中しすぎてしまったり、大げさに言えば自分を「悲劇のヒロイン」のように見てしまったりする傾向があることに気づいたと言います。

「死の体験旅行」の経験によって、そうした自分の思考の癖を変えることができ、これからは自分の人生を少し俯瞰して見よう、自分に与えられた時間をどう使うかちゃんと考えよう。そう思えるようになったのだそうです。

浦上 哲也:浄土真宗・倶生山 慈陽院 なごみ庵住職

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