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「上司がめっちゃ優しくて…だから辞めました」 「最近の若手は厳しくすると辞める」に潜むワナ

東洋経済オンライン / 2024年10月15日 7時0分

しかも、この場合、成長欲求の強い貴重な人材の流出となるため、会社にとっては大きな痛手となります。

得たいスキルが得られなかったことによる離職

また、業務量だけでなく、業務内容についてもニーズが満たされないと、それが離職の原因となります。

大手コンサルティング会社に勤めていた28歳のN氏は、経営コンサルティングのスキルが身につくと思って入社したものの、実際の仕事はデータ収集やパワーポイントの資料作成ばかりで、コンサルティングスキルが身につかない状況にうんざりしていました。

その旨を上司に相談すると、「いまは下積みの時代だから。年次が上がればコンサルティングスキルが身につく仕事もできる」と言われ、その後、数年働きました。しかし、年次が上がって任された仕事は営業でした。

自分の要望が通らない状況に嫌気がさし、N氏は小規模のコンサルティング会社に転職します。その後、私がお会いした際、N氏は嬉しそうにこう話されました。

前職と比べると今の会社はオフィスも福利厚生もインフラもしょぼいです。でも仕事の内容がまさにやりたかったことなので、転職して本当によかったです。

N氏(元大手コンサルティング会社、28歳)

年収が下がる、オフィスも福利厚生もインフラもしょぼくなる。

それでも成長欲求の強い人は、「この会社にいると成長できない」と感じると成長の機会を求めて離職します。

「最近の若手は…」と決めつけてはいけない

いま、多くの会社が人手不足に陥っています。

採用がうまくいかない会社では、社員が辞めると辞めた穴を埋めることができず、現場が逼迫していきます。特に若手はストレスに弱く、叱ったり、残業をさせたりするとそれが原因で辞める社員が多くいます。その状況を恐れ、若手社員を叱らない、残業をさせないという会社が増えています。

しかし、成長欲求が強い若手からすると、この状況に物足りなさを感じるのです。

こういったミスマッチが起きないように、「若手にハードに仕事をさせると本人が嫌がる」と一方的に決めつけるのではなく、業務量や業務内容について本人の意向を確認するコミュニケーションをとることが重要です。

そして、極力、本人の意向に沿った働き方をさせてあげることです。

いちいちそういった対応をするのは手間だと思うかもしれません。ただ、成長欲求の強い若手は将来会社を牽引する存在になる可能性が高く、こういった社員の流出を防げるかどうかは社運を左右すると言っても過言ではないでしょう。

その点を考えれば、上記の対応をとる価値は十分にあると言えます。将来有望な若手の離職を防ぐうえで、今回の記事が参考になれば幸いです。

藤田 耕司:経営心理士、税理士、心理カウンセラー

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