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ドルに代わる国際通貨の覇権をBRICSは握れるか ロシアで開催されるBRICSサミットに注目せよ

東洋経済オンライン / 2024年10月16日 9時0分

一方、お隣の韓国の躍進はめざましく、64のうち24がトップ5位に位置していて、日本は、韓国に比べても先端技術の劣化が激しいという状況である。

注目すべきは、イランやサウジアラビアなども上位に食い込んでいて、これまで支配的であったG7諸国の技術的優位が次第になくなっていることである。技術的優位が、BRICSに移りつつあることがこの報告から見てもはっきりわかる。

クズネッツが生きていたら、BRICS諸国の現在の経済成長の速度や技術優位をどう考えるのであろうか。しかも工業生産でいえば、その中心は先進国からBRICS諸国が圧倒的な力を発揮していて、金融やサービスを含めたGDPではなんとか西欧諸国が今でも優位なのだが、実体経済をあらわす物的生産においてはすでにアジア・アフリカが優位に立っているのだ。

しかしこのGDPによる国内総生産もあくまでもドルによる計算であり、ドルではなく購買力平価で測れば実態は大きく変わるとも言われている。

それを表すかのように、BRICS諸国は、長引くアメリカの経済制裁に対する防衛として非ドル化(Dedollarization)を進めつつある。

今回のBRICSサミットの議題の中でも、この国際決済通貨をドルに代わってどう創造するかという問題が注目されるだろう。国際通貨は覇権国家にとって力を行使する生命線であり、他国通貨を使うことは財政、金融政策上困難な問題に遭遇する。

国際決済通貨が主要議題に

中立な通貨は決済通貨としては便利であるが、覇権国家として集団を率いるには都合が悪い。だから、非ドル化が、金のような国家と関係のない中立な通貨となることは、ロシアや中国といった覇権国家にとって容易に承認できることではないであろう。

第2次世界大戦後にアメリカを中心につくられた為替相場安定のメカニズムであったブレトンウッズ体制の中で、アメリカの通貨が国際決済通貨になったのは、アメリカという覇権国家による世界支配という前提があったがゆえのことである。

どこの国家のものでもない、バンコールという通貨の発行を主張したケインズ案をアメリカが拒否したのは、当然であったともいえる。

また旧ソ連圏で振り替えルーブルが使われていたが、名前が示すとおり、ソ連という覇権国家のルーブルに有利な決済通貨であったことは間違いない。

ただ、今のドル支配という体制に対する不満は、非西欧諸国に多くあった。アメリカドルがなければ国際貿易ができないことが、それらの国のアメリカ従属を生み出し、アメリカに都合のよい体制が生まれ、永久にアメリカドルによる借金漬けから脱出できないという状況を生み出していたからである。

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