「地震と豪雨」能登半島ダブルパンチの深刻さ 現地調査した専門家が検証「今後警戒すべき点」
東洋経済オンライン / 2024年10月17日 12時30分
このような地理的条件に加え、1月の地震被害が重なった。
能登半島地震では、道路や上下水道のライフラインに大きな被害が生じ、多くの孤立集落を生じさせた。狭い低地部では地震により液状化現象が多く発生。橋梁や道路、家屋被害のほか、地下の埋設配管に被害が発生した地域も多い。
また能登半島北岸の沿岸部では最大4mという地盤の隆起が発生。ほかにも山間部で多くの土砂崩れや川への土砂堆積が発生し、河川では護岸や堤防などへの被害も生じていた。
輪島市の市街地付近でも、複数の土砂災害や土砂流出のほか、輪島市役所東方の台地上にある輪島中学ではグラウンドが段々状に崩落する被害もあった。
市街地ではインフラの復旧が進んでいたが、特に山間部は復旧途上という状況で豪雨が発生してしまった。
公開されている情報から地震後と、豪雨後の斜面崩壊・土砂堆積を比較してみる。地震で被害があった地点を起点に、または隣接しているとみられる崩壊・堆積地点も少なくない。
斜面崩壊した場所は保水力が失われ、周辺は崩落しやすい状態になる。崩落した土砂と木々は、大雨による水をせき止めて土砂ダムのようになり、そこに土石流が発生すると、土砂と水が一挙に流出する「土砂・洪水氾濫」が起きやすい状態となることが想定される。
輪島市で起きていたことは?
筆者は、豪雨発生後の4日後の9月25日~26日に輪島市街地に入り、仮設住宅も含め、住宅に被害が出た地域を調査した。
まず全体として輪島市街地では、洪水ハザードマップは市内を南から北に流れる河原田川を対象として作成。低地に広がる市役所や商店街、住宅街を含む市街の広い範囲が0.5~3.0mまたはそれ以上の浸水が想定される範囲に含まれている。
輪島市はもともと、能登地域の中では川が作った低地が広い反面、多くの市街区域で洪水が想定される、というジレンマを持っていた。昭和30年代には3回の洪水があり大きな被害が発生。市内で今回も被害が発生した河井町に「輪島市水害水位表示塔」が建てられている。
また、低地をとりまくように、土砂災害ハザードマップにおける土砂災害警戒区域が広がっている。低地の周囲には山地が広がっており、急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)、土石流、地すべりの警戒区域が広がる。地域のほとんどが、川沿いの低地か、傾斜地で土砂災害リスクのある山地の、いずれかであるという特性だ。
現地で調査を実施して、浸水・冠水があった地点6カ所を上図に示した。洪水ハザードマップ、土砂災害ハザードマップも重ね合わせている。
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