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「地震と豪雨」能登半島ダブルパンチの深刻さ 現地調査した専門家が検証「今後警戒すべき点」

東洋経済オンライン / 2024年10月17日 12時30分

紫色の点線で囲ってみると、洪水ハザードマップで浸水が想定されている区域に多くが含まれる。しかし、著者が確認できた範囲では、河原田川またはその支流の鳳至川の氾濫で被害があった地域は①、②のみであった。

これらの地域では河川の洪水・氾濫が発生し深さ1.5mを超すような浸水と、川が運んで来た多くの土砂が街中に運ばれていた。

特に①では人口が密集する地域と一致してしまったことから、その浸水の深さと土砂による被害が著しかった。

市役所東側にある河原田川の上新橋では、2本ある橋脚の西側が大量の流木で閉塞されていた。こうした流木も、上流側の斜面崩落、土砂堆積によってより流れ出しやすかったと考えられる。

閉塞があると、川の流れは閉塞部分から左右に迂回して増水し、より氾濫しやすくなったことも想定される。

洪水ハザードマップの想定外が起きた

一方、輪島市街地のそれ以外の地域では、洪水ハザードマップが作られていた川の氾濫ではなく、それぞれの集落を流れる川、または少し離れた山側にある川の氾濫、または山側から土砂と水が流れてきたとみられるケースが目立った。

上図で番号③、④の2カ所が仮設住宅の床上浸水が発生していた地域である。③では地域の南西側にある小さな川が氾濫して流れ下り、下流側(北/地図の上側)に流れていくことで仮設住宅に被害をもたらしていた。④も裏手の小さな川の氾濫によるものだ。

図の⑥付近は「道の駅輪島」付近で、東方の山側の2カ所から、多量の濁水が流下されている状況が、9月21日のX(旧Twitter)で動画がアップされていた。

実際に現地を見ると、水は引いていたが、家の玄関先や車、自転車等が流れて来た土砂に埋まってしまっていた。この地点は谷筋にあるが、日ごろから流れている河川の氾濫というより、谷を登った上部にある輪島中学校のグラウンドからの土砂流出であった。

グラウンドには地震の際、すでに大きな地割れができていた。そこから豪雨の影響で土砂が流れていき、途中の土などを巻き込んで流れ下っていったものと考えられる。

9月上旬にも大雨で土砂が流出し浸水被害があった、と報道されていたが、21日の豪雨によってより広範囲に被害をもたらす結果となったようだ。「地震による山側にできた亀裂が、豪雨災害での被害拡大につながった事例」とみられる。

家屋流出の地域では

番号⑤は家屋の流出があり、死者・行方不明者を生じている地域である。被害があった付近は、塚田川という川の流域の谷であった。

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