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「住宅ローン金利上昇」を騒ぐ人に欠けている視点 「報道されていない内容」を深読みすると…

東洋経済オンライン / 2024年10月19日 8時0分

(写真:Bloomberg)

住宅ローンの変動金利上昇が本格的に2024年10月から始まった。大手5行(メガ3行・住信・りそな)が既契約の変動金利の0.15%利上げを決定した。新規契約については足並みが揃わず、同様の利上げをする銀行と据え置きを含めて顧客属性次第で対応する銀行に分かれた。今回の「変動金利上昇問題」にどう対処したらいいのだろうか?

【画像】変動金利の上昇時に重要となる3つのルール

日銀が金融引き締めに舵を切った際に、私は変動金利について、「ほぼ上がらないだろう」と配信動画や取材などで発言していた。なぜならば、先に金利を上げたら、貸付額のシェアを奪われるだけだからだ。つまり、「上げたくても上げられない」がまん大会の様相を呈すると思っていたのだ。

新規で住宅ローンを借りる人への影響は?

今回の利上げは想定以上に大きな上げ幅であった。しかし、報道されている内容よりも、報道されていない内容を深読みすると重要な意味が隠されていることがある。

今回の報道で「大手5行」とされている銀行は、住宅ローンの大手ではない。住宅ローンの主力行は今やネット銀行である。ネット銀行では住宅ローンが主力商品となっており、その利上げ幅は今のところ非常に小さい。実際は、がまん大会が継続していると私は見ている。

そうなると、今後起こるのは、住宅ローン業界におけるネット銀行へのさらなる顧客集中化。新規では金利を上げた銀行からネット銀行に顧客が流れるだけの問題だ。大手5行の中には、新規貸し出しは金利据え置きというダブルスタンダードを用いている銀行もあるのは、それを避ける意味合いがある。

こうして、新規で借りる側にはあまり大きな問題には今のところなっていないと見ることができる。

また、「変動金利は短期プライムレートと連動する」と明記している銀行は多い。その短期プライムレート連動の基準金利は昔からかなり高く、優遇金利を引いて住宅ローンの変動金利は決められている。例えば、短期プライムレート1.5%、基準金利は+1%した2.5%、優遇金利が-1.8%で、住宅ローンの変動金利は0.7%といった具合だ。

大きな幅を持つ優遇金利には特段の根拠が見られないことから、基準金利は「店頭金利」とも言うように見せかけで、優遇金利は銀行都合でどうとでも設定できるようになっている。

その証拠に、変動金利で借りた金利は新規貸し出しの金利が下がっても下がらず、「固定金利」になっている。その意味でも、今回の報道はすでに変動金利で住宅ローンを借りている人たちだけの問題だとわかる。

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