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1日1000個売れる静岡市「あみ焼き弁当」の底力 深夜3時まで営業、しずおか食堂の名物695円

東洋経済オンライン / 2024年10月19日 10時0分

カットされた豚バラ肉をタレにくぐらせて、焼き台のあみの上に並べて焼いていく。厨房内は何とも食欲のソソられる匂いが立ち込める。もうこの匂いだけでご飯を食べられるほどだ。肉の両面を焼いて少し焦げ目がついたところで引き上げて、弁当箱によそったご飯の上に焼いた肉を敷き詰めていく。その上からタレをかけて完成。と、調理法もシンプルこの上ない。が、多くの人々を虜にして、ひいては店の名物にまで押し上げたわけで、何かしらの秘密があるに違いない。

あみ焼き弁当は北海道・十勝の豚丼がモデル

「弊社の創業は1972年で、もともとこの場所はタクシーの配車場でした。その脇で立ち食いそばの店も営んでいて、牛めしなども扱っていたようです。両替町界隈は居酒屋やバー、クラブ、スナックなどが建ち並ぶ歓楽街なので、その場所を生かした事業を始めようと配車場を壊してビジネスホテルと弁当店を開業したのがはじまりです」(森谷さん)

しずおか弁当の店内にいると気が付かないが、裏へまわると店はホテルの1階にあることがわかる。ちなみにここ『静岡ユーアイホテル』では、あみ焼き弁当付きの宿泊プランもあるというから、筆者はここを静岡出張の定宿にしようと思う。

弁当店を始めるにあたって、創業者は名物になる弁当を作るために全国各地を食べ歩いたという。北海道の十勝で食べた豚丼に衝撃を受けて、これをアレンジした弁当を作ろうと考えた。北海道の豚丼に使われるのは主にロースであり、時間が経つと固くなってしまう。持ち帰りが前提の弁当には向かないことからバラ肉を使うことにした。とはいえ、バラ肉も冷めると脂が固まってしまう。

「あみ焼きにしたのは、余分な脂を落とすためでもありました。注文を受けてから肉を焼いて、ご飯の上にのせて提供するのがいちばん理想ですが、現実的にはそういうわけにはいきません。混雑する時間帯に合わせてまとめて作って、可能な限り出来立てを提供するようにしています。出来上がったあみ焼き弁当は、保温庫に入れていますので温かい状態でお召し上がりいただけます」(森谷さん)

タレの味付けは静岡の人が好むうなぎのタレを参考にした。そのまま使うと甘みが強くて肉と合わないため、塩分をやや強めに調整している。ベースとなる醤油のコクと甘味、塩味がバラ肉の旨みを引き立てて、箸が止まらなくなるのだ。その配合はまさに黄金比といっても過言ではない。

そういえば、うな丼やうな重はうなぎを盛り付ける前ご飯にタレをかけるが、あみ焼き弁当はその逆だった。つまり、ご飯の上に肉をのせてからタレをかけていたのだ。これにも理由がある。

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