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1日1000個売れる静岡市「あみ焼き弁当」の底力 深夜3時まで営業、しずおか食堂の名物695円

東洋経済オンライン / 2024年10月19日 10時0分

「肉の上からタレをかけると、弁当箱の隅へ流れていって、底へ溜まるんです。肉の下にあるご飯にはタレがほとんどかからないので、まずは白いご飯と肉を、中盤から後半にかけてはタレがかかったご飯と肉という具合にお楽しみいただけます」(森谷さん)

コロナを機に開店時間を2時間前倒し

あみ焼き弁当が店の名物となり、ひいては静岡のソウルフードといわれるようになったのは、味だけではない。一般的に弁当店の営業は夜遅くても23時頃までだろう。ところが、静岡弁当は冒頭でも触れた通り、深夜3時まで。この異常なまでに遅い閉店時間と葵区両替町という静岡市内最大の繁華街というシチュエーションがヒットを生んだのである。

「深夜3時まで店を開けているのは、店の周りにあるクラブやスナックなどで働く方にも利用していただけたらと思ってのことです。実際、夜遅くに仕事を終えた方が買いに来られますし、夜の時間帯は遊びに行く店の女の子たちにお土産として購入される方も多いです。飲んだ帰りに買って、自宅で食べるという『〆弁当』という習慣も生まれました」(森谷さん)

もちろん、昼間もサラリーマンを中心に多くの客が訪れるが、しずおか弁当は夜に主眼を置いた戦略であみ焼き弁当の知名度を高めていったのは間違いない。ところが、2020年のコロナ禍で状況は大きく変わる。全国の繁華街がそうだったように、平日でも多くの人々で賑わっていた両替町も例外ではなく、街から人が消えてしまったのだ。

「感染拡大の状況に応じて、22時閉店や0時閉店など時短営業を行っていました。売り上げはコロナ前よりも20%減になりました。そこで夜がダメなら朝に勝負してみようと、おにぎりやサンドイッチなど朝ごはん用のメニューを用意して、10時だった開店時間を2時間前倒しして8時にしました。すると、通勤時にコンビニに立ち寄るような感覚で来店されるお客様が増えていきました」(森谷さん)

新規顧客拡大への挑戦

もう一つ、コロナ禍で森谷さんが考えたのは、店を訪れる客層だ。あみ焼き弁当に限らず、ほかの弁当もコンビニで売られているものより価格が安いにもかかわらず、若い世代や女性が少なく、メインは40代以上の男性だったのだ。

「今まで店に足を運んだことのない新規のお客様、特に女性のお客様に来ていただきたいと思いました。そこで社内に製菓部を立ち上げてクッキーやフィナンシェ、カヌレなどを作って販売しました。インスタから徐々に女性のお客様が増えて、当時流行っていたマリトッツォをいち早く売り出したところ一気に火がつきました」(森谷さん)

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