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山形市が「ラーメン日本一」になった納得の理由 古き歴史と新しい店が一体に、独自の多様性が形成

東洋経済オンライン / 2024年10月20日 8時30分

ラーメン外食費が、2年連続で日本一となった山形市。老舗をリスペクトする土壌が、しっかり根付いていることが特徴だ。なお、写真は「麺辰」の「中華そば」(筆者撮影)

「ラーメン王国」の山形県、その中心・山形市はラーメン外食費「日本一」

総務省が2月に発表した家計調査で、昨年の山形市のラーメン外食費が1万7593円となり、前年に続き「ラーメン日本一」の座を勝ち取った。これは全国の都道府県庁所在地・政令指定都市の外食の消費額を調査したものである。

【その他の画像も多数】山形の絶品ラーメンはこんな感じ

山形市は、記録の始まった2000年以降では最高額を叩き出した。ちなみに2位は新潟市、3位仙台市、4位宇都宮市と続く。

ラーメンといえば東京をはじめ、札幌や博多を思い浮かべる人が多いと思うが、なぜ山形市が日本一に輝き続けるのか。その裏には市民のラーメンへの思いと、ラーメン店の努力があった。

「山形市にはこれといったご当地ラーメンがありません。氷の入った冷たい“冷やしラーメン”がありますが、ダシのとり方も鶏・豚・牛などお店によってそれぞれ。いろいろあるのが山形市のいいところだと思います。

調査が都道府県庁所在地・政令指定都市に限られているので山形市が1位になっていますが、他のエリアもおらが町が一番だと思っていると思います。山形県は本当に『ラーメン王国』なんです」

そう語るのは「新旬屋 本店」「極中華蕎麦 ひろた」などを展開する店主・半田新也さん。今回はそんな半田さんの声がけで、山形市で今勢いのあるラーメン店の店主に集まってもらい、それぞれの思いを語ってもらった。

メディアが盛り上げたことで火がついた

JR山形駅前にあるつけ麺の名店「麺藤田」。店主の藤田俊彦さんは山形出身で、フランス料理シェフからラーメン職人に転身。目黒の有名店「づゅる麺 池田」で修行ののち、2010年に「麺藤田」をオープンした。

「かつては山形が『ラーメン王国』という意識はありませんでしたが、昔からラーメンは当たり前の存在でした。むしろ山形を離れてから、山形がラーメン県だと騒がれていることを知ったぐらいです」(藤田店主)

「麺藤田」は山形でも珍しい“つけ麺”をメインに据えたお店。創業当初はつけ麺自体が「なんだそれ?」状態だったという。

「つけ麺をメインで出していましたが、中華そばから売り切れていく毎日でした。中華そばが売り切れると『ラーメンないの?』『ラーメン屋なのにラーメンがない店ってどうなの?』と言われ、山形ではこれほどまでにラーメンばかりが愛されているのかと驚きました」(藤田店主)

山形の人たちにとってラーメンは本当に身近な存在。逆に、つけ麺を食べるという選択肢は一切なかったのである。SNSの書き込みを見ると心が病んでくるので、ネットは一切見ずに自分のつけ麺をブラッシュアップし続けた藤田さん。10年経ってようやくつけ麺が市民権を得てきた。

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