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ヒット作を量産「縦スクロールマンガ」の"舞台裏" ブームから1年、月1億円以上売り上げる作品も

東洋経済オンライン / 2024年10月21日 17時0分

国産ウェブトゥーンスタジオ勢の作品にもヒットの兆候が現われ始めました(写真:PicStyle/PIXTA)

『鬼滅の刃』の経済規模は約1兆円といわれるなど、いま漫画ビジネスは日本の次なる輸出産業として活況を呈している。

今回は、漫画の新しい姿ともいえる「ウェブトゥーン」について、漫画専門のシンクタンク代表である菊池健氏の著書『漫画ビジネス』から、一部を抜粋してお届けする。

国産ウェブトゥーンにヒット作が誕生

2013年にcomicoが日本に進出して、日本人のスマホに縦スクロールカラーマンガとも呼ばれるウェブトゥーンが入ってきました。業界の中では話題となり、特に中高生の間で支持されていた無料を主体としたcomicoの存在は、独特なもので業界の中でも話題になりました。

今振り返ると、当時、ネットでお金を使う主体となる30代前後の年齢帯のユーザーと、そこに相対する出版社・プラットフォーマーのほとんどにとって一番関心があったのは、紙の横読みマンガが電子コミック化され、それが異常な速度で市場として育って行ったことだったのではないかと思います。

その激流のような変化の前では、縦スクロールカラーマンガという存在は、ちょっと一足飛び過ぎたのかもしれません。

あれから10年。2022年から23年にかけて、あらためてウェブトゥーンブームが起きました。

プラットフォームではピッコマ、LINEマンガ、作品でいうと『俺だけレベルアップな件』と『女神降臨』などがけん引して、読者が開拓されたあと、日本におけるウェブトゥーンブームは、この時期にウェブトゥーンスタジオの大量参入というかたちで訪れたのです。

思えば、2013年当時の中高生は、もう社会人です。読み手の側にも作り手の側にも入ってきた若い世代は、コンテンツとしてウェブトゥーンに親しんできました。その影響もあったのかもしれません。

ブームから1年あまり、国産ウェブトゥーンスタジオ勢の作品にもヒットの兆候が現われ始めました。

2024年1月、ついに国産ウェブトゥーンスタジオの一角であるナンバーナインの『神血の救世主〜0.00000001%を引き当て最強へ〜』が、月間販売額1.2億円を突破したことをプレスリリースしました。

ウェブトゥーンにおいて、月間販売額で1億円を超えるというのは、現状ではヒットのかたちとしてわかりやすい指標です。この作品はナンバーナインにとって1作目のWebtoonになります。

ではなぜ、80ものウェブトゥーンスタジオの中でナンバーナインが、これほど早くヒットといえる作品を世に送り出せたのでしょうか?

奇をてらわず、スタンダードな作品をつくる

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