補聴器と何が違う?「AirPods」聴覚サポートの特質 アップルが示した革新的アプローチを徹底解説
東洋経済オンライン / 2024年10月21日 22時0分
健康診断などでは簡易的に1kHzと4kHzの2つの周波数でテストし、30dBHL以下の音を聞き取ることができれば「正常」と診断される。
AirPods Pro 2を用いたテストでは125~8kHzまで、7段階の周波数に対する応答を、左右それぞれにチェック可能だ。プロセスはおよそ5分間で実行できる。
アップルは日本法人名義で管理医療機器販売者となり、厚労省にこのソフトウェア機能を登録している。
内容は健康診断などで行う聴力テストとほぼ同じだ。ボタンを押す代わりにアプリの画面をタップする。健康診断等では簡易的に2つの周波数で計測されることが多いようだが、その点においてより厳密にテストされていると言える。
アップルは2019年からWHOと一緒にヒアリングスタディという臨床調査を行ってきた。200人の難聴の被験者や従来のオーディオ機能のテスト結果によるものなどを比較しながら機能をテストし、ランダム比較テストを行ったところ、より厳密な医療機関でのテスト結果とのWHO分類は、81%の一致度を示した。
アップルが管理医療機器販売者として登録したもう1つのソフトウェアがヒアリング補助だ。
ヒアリングチェックで得られたオージオグラムに基づき、ユーザーの聴力を補うために、どのように音を増幅するのかを設定することで、聴覚に合わせた聞こえ方の補正を行う。
要するに聞こえにくい周波数の音を補うことで、聞きやすくするものだ。ヒアリングチェックにはiPhoneかiPadが必要だったが、ヒアリング補助に関してはmacOS Sequoia以降を搭載したMacとAirPods Pro 2をペアリングした場合でも利用できる。
18歳以上の軽度から中程度の難聴が認められるユーザーへの使用を目的としていると、アップルは説明している。
実は、この機能は2つの経路でユーザに価値を提供している。
1つはAirPods Proが拾っている音を補正することだ。つまり、一般的な補聴器に近い機能であり、聞こえにくい声などが、より明瞭に聞き取れる。音量だけでなく、周波数特性も補正することにより、より言葉のニュアンスが伝わってくるようになる。
もう1つはスマートフォン、タブレット、パソコンから流れる音声を補正する機能。こちらは音楽や映画、テレビ番組などのデジタルコンテンツを楽しむ際に、聴覚に応じて補正をかけた音声を楽しむことが可能になる。
聴力に問題なくても利用価値あり
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