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介護保険を「撤退戦」から守るたった1つの方法 一段と強まる給付削減と介護報酬の伸び抑制

東洋経済オンライン / 2024年10月23日 8時0分

この図をご覧ください。

横軸は家計所得、縦軸は医療サービス支出です。左は日本、右はアメリカです。国民皆保険の日本は、所得とは関係なく医療サービスが支出されています。アメリカは、所得が高いほど医療支出が大きくなる。どちらの国がよいですか?ということですね。

八代尚宏さんたちのグループがこの本を書いています、彼らは、右側がよいという。そのためにこの図を作っている。しかし、みなさんはどうでしょうか?

もし、左のように、せめて医療くらいは必要に応じて利用できる社会、みんなが平等に利用できる社会が望ましいと考えるのであれば、それを実現できる方法は、医療サービスの支払いを市場から外して、支払いは税・社会保険料で賄うしか方法がありません。

介護も、支払い能力ではなく必要に応じて利用できる社会が望ましいと考えるのならば、税・社会保険料で賄うしかありません。

公的介護サービスが劣化している、介護マンパワーの賃金が低すぎる、介護マンパワーが不足しているというのであれば、この問題を克服するために税・社会保険料を上げるという政治家を応援するしかない。ただ、現実には、逆のことを言ったほうが支持者が増えるという傾向は強まっています。

所得の再分配とは・・・いま一度

次のスライドには、社会保障が果たしている所得の再分配のイメージを描いています。

家計は、右側の市場で働いて得た所得を、いったんは政府に、税・社会保険料として預けて、今度は、必要になったときに給付を受ける。市場が家計に分配した所得を「一次分配」、政府が家計に分配する所得を「再分配」と呼びます。この再分配を充実させるためには、この図の中で、家計から政府に向けた矢印、税・社会保険料を増やすしかない。

今の時代は、この再分配としての社会保障が政府活動のメインです。GDP(国内総生産)の2割を占めています。そうであるのに、多くの面で、政府の歳入と歳出を分けて議論している。それはおかしいだろう。そのような問題意識から、第2回政府税制調査会(2024年5月13日)で、私は次のように話しています。

今のような再分配国家、福祉国家全盛の時代に、絶対君主制の時代に生まれたカメラリズム(官房学)的な国家の収入と支出を分離した形で議論すれば、支出側面で社会保障の悪口を言って、その悪い制度の負担を国民に強いるというストーリーにどうしてもなっていくのではないのかなと思っています。だから、五公五民キャンペーンに簡単にやられてしまうのだというのが私の去年の様子を見ていた感想であります。

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