「憎悪」と「嫉妬」は、どちらが"よりネガティブ"か 「プラスの効果」がまったく期待できない感情
東洋経済オンライン / 2024年10月23日 16時0分
曹洞宗・永平寺で約20年におよぶ修行を積んできた禅僧の南直哉氏は、「永平寺は巨大組織なので、ある意味では一般の大企業と同じ。部下は動かないし、上司は話が通じない。日々イライラすることもあれば、怒りが収まらないことも起こりました」と振り返ります。
心安らかに暮らすためには、そうした「感情の波」からいったん降りることが大切さだと説く南氏が、とりわけ厄介な「2つの感情」について解説します。
※本稿は、南氏の著書『新版 禅僧が教える心がラクになる生き方』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
感情の波から「いったん降りる」技術を身につける
ときには感情が揺らぎ、大きく波立ったとしても、その流れをいったん自分で切ることができる。私が身をもってそう知ったのは、永平寺の役寮時代でした。
曹洞宗の総本山である永平寺は、おおぜいの僧侶が所属する巨大組織です。僧侶の集団といえど、役職が決められ序列がはっきりしています。その意味では、一般の大企業と同じです。部下は動かないし、上司は話が通じません。日々イライラすることもあれば、ときには、怒りが収まらないことも起こります。
しかし、われわれ禅僧には坐禅があります。日課の坐禅によって感情や思考がいったん遮断されると、自然に意識がクールダウンし、状況を新しい視点で捉え直すことができます。
「部下が失敗したのは、自分の指示が悪かったのかもしれない」
「そもそも初めから、失敗しても仕方がないと思ってまかせたのではないか」
どんなに腹が立っていても、坐禅後はそう思い直し、自分がどう動けばいいのか、次の展開が見えることがよくありました。
思考や感情の波に巻き込まれたまま、物事を考えても意味はありません。感情の流れを切ることが、習慣として身につけられるかどうか。「不動心」を育むためには、これが外せません。
しかし、頭で渦巻いている感情や思考は、自分の意志で止めようと思って止まるものではありません。感情や思考の動きを沈静化させ、意識の方向を切り換えるためには、体のほうから感情をコントロールするテクニックが必要なのです。
「単調な肉体労働」を繰り返すと感情の起伏が収まる
僧侶としては、まず坐禅をおすすめします。一定の指導と訓練が必要ですから、興味があれば坐禅指導をする寺院に足を運んでみるといいでしょう。それが難しいようなら、日常生活の中で思考や感情をいったん遮断して、クールダウンする気軽なやり方もあります。感情からいったん降りて、「平場(ひらば)」に戻す方法です。
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