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総選挙を左右する?「テレビよりYouTube」戦略 Googleも積極的に後押しする「選挙系YouTube」

東洋経済オンライン / 2024年10月23日 10時0分

フェルドマン氏は日本の例も示してくれた。都知事選挙におけるReHacQとNewsPicksの動画だ。韓国のシュカワールドやインドネシアのナジワ・シハブより少ないが、登録者数は100万人を超えており、選挙に対して少なからぬ影響力を持っていたと思える。YouTubeが選挙に影響を及ぼし始めたのは、グローバルな波に乗った現象なのだ。

Googleも積極的に後押し

Googleとしても、YouTubeが選挙に影響を与えていることを肯定的に捉えているようだ。フェルドマン氏の肩書には「News & Civics」とあり、報道と市民活動をサポートするための役職だ。YouTubeというと、無名の若者が面白いことを見せるエンターテインメントの場だととらえがちだ。それはもちろん一つの側面だが、選挙との関わりを知ると、政治啓蒙の場にもなりつつあるとわかってくる。

フェルドマン氏が示してくれたスライドには、真ん中に「Building Trust」とあった。正直、YouTubeがTrust(=信頼)が大事だと言うのは驚いた。ユーザーに勝手に使わせて広告収入さえ入ればいいのだろうと考えていたからだ。だがYouTuberが「アカバンされた」事例は前々から聞こえてきていた。YouTubeのルールに反するとアカウントを削除されるのだ。これもBuilding Trustの一環だろう。

フェルドマン氏は「質の高いコンテンツをお勧めする」こともTrustのために必要だと強調していた。政治的な内容でも、良い動画なら積極的にお勧めする方針なのだ。また、質が低いもの、ヘイトのように社会的に問題のある動画はお勧めされない。YouTubeでお勧めされない動画は、存在しないも同然だ。

こうしたテクノロジーも駆使して、YouTubeを質の高い政治啓蒙の場としても広く使ってもらいたいそうだ。それがユーザー、視聴者、広告主にとって良いコミュニティになるとの考え方だろう。

韓国とインドネシアの例が示す通り、YouTubeが選挙に影響力を持ち始める流れはグローバルなものだ。若い人にメッセージが届く場としてのYouTubeは、日本でも総選挙の趨勢を決める重要なコミュニティだと言える。

テレビ局は半ば諦めモード?

だが気になるのは、日本の政治家がショート動画偏重でYouTubeを活用していることだ。そこで扱われるのは、プライベートな話題が中心。親しみを持ってもらうツールとして使っているように見えるが、それは若者たちを侮りすぎではないだろうか。若者が政治に関心が薄いというのはイメージにすぎない。むしろ関心が高いことが都知事選で示されたのだ。ネットだから柔らかい雰囲気を作ろうとするのは誤りだと思う。そうではなくなっていることを、フェルドマン氏は示してくれた。

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