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「心を読む能力」が人により異なるという衝撃事実 リーダーに不可欠なメンタライジング能力とは

東洋経済オンライン / 2024年10月25日 12時30分

「他人が何を考えているか」を推測する能力をメンタライジング能力と言いますが、この能力は人によって異なります(写真:mits/PIXTA)

友だちの数、生産性の高いチームのメンバー数、縦割り化する会社の社員数……。これらの人数は、進化心理学者のロビン・ダンバーが発見した「ダンバー数」や「ダンバー・グラフ」に支配されている。古来より人類は、「家族」や「部族(トライブ)」を形作って暮らしてきたからだ。

メンバー同士が絆を深め、信頼し合い、帰属意識をもって協力し合う、創造的で生産性の高い組織を築くためには、このような人間の本能や行動様式にかんする科学的な知識が不可欠である。今回、『「組織と人数」の絶対法則』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

一度に何人の心を推測できるか

言語を駆使する能力や人の真意を見抜く能力の根底にあるのは、メンタライジングあるいは読心術として知られる心理的な能力である。

【図解で簡単にわかる】私たちは、何人の心理状態を理解できるのか?

ひとことで言えば、それは言語学において人の意図を表す用語として知られる動詞群を使いこなし、理解する能力だ。

たとえば、「like(好む)」「intend(意図する)」「believe(信じる)」「suppose(推測する)」「imagine(想像する)」「wonder(疑問に思う)」「think(考える)」「want(望む)」「expect(期待する)」など。

これらの動詞はいずれも、自分の内的思考あるいは心的状態について内省する能力を示す。

他人についてこれらの動詞を使うとき、たとえば、「あなたが……と信じているだろうかと私は思う」と言うとき、その人は「心の理論」という用語で知られる能力を持つと考えられている。

「心の理論」とは、ある特定の瞬間に誰が何を考えているかを推測する私たちの心の機能のことである。この高度なメタ認知能力――思考について考える能力――は、ヒトを他の動物と隔てる能力の1つだ。

自分の心の中身について考える能力は、1次の志向意識水準として知られる。別の人の心の中身について考える能力は、2次の志向意識水準(あるいは正式な心の理論)である。3人目の人が何を考えているかをあなたが正しく理解したならば、それは3次の志向意識水準となる。

成人では、次数の典型的な上限は5次である(図参照)。私たちは同時に5つの心まで(もちろん自分の心を含む)処理できる。

つまり、マーサが何かをするつもりであるとラジェンドラが考えているとカディシャが推測しているとピーターが望んでいると私たちは信じているのだ。

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