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リクルート「エリクラ」利用者に"不法投棄誘発"か 会社側に見解を問うと「サービスのあり方改善」へ

東洋経済オンライン / 2024年10月25日 10時0分

一方で取材中、シンジさんはごみ問題だけを声高に糾弾したわけではなかった。シンジさんが繰り返し訴えたのは「エリクラは清掃の仕事を軽んじている」ということだった。

シンジさんは地元の高校を卒業後、食品関連会社に就職。しかし、そこは毎月60時間以上の残業をさせながら、給料は手取りで約16万円という悪質企業だった。正社員だったが、「1年で72キロあった体重が52キロに減りました」と語る。

その後、別の会社への転職を経て派遣労働者に。日雇い派遣大手のグッドウィルに登録したが、後に社会問題となる違法な二重派遣や、「データ装備費」天引きの被害に遭った。ピンハネ構造に嫌気がさして派遣労働に見切りをつけた後は、複数の清掃会社で経験を積み、5年ほど前に独立した。

シンジさんは「やるべきことが決まっている仕事は性に合っている」と話す一方で、「清掃の仕事の(社会的な)地位が低いと感じます」と打ち明ける。

清掃会社に勤めていたとき、実際の職場は取引先の会社だったが、一部の社員からはいつまでも名前で呼ばれることはなく、あいさつをしても無視されたり、廊下の隅に置いた掃除用具を「邪魔だよ」と足蹴にされたりしたこともあった。シンジさんは「個人の経験ではありますが、差別的な態度を取るのは決まって中高年の男性でした」という。

シンジさんは、低い報酬のわりに多くの要求をされる現状や、不法投棄を招きかねない仕組みを放置するのは「根底に清掃の仕事を軽んじる気持ちがあるからではないか」という思いが拭えないようだった。

シンジさんに言わせると、同じ業務委託でもエリクラと、それ以外の現場ではかなり勝手が違う。

「エリクラの提示時間は最短で終わる場合を想定しているようですが、普通は取引先とのトラブルを避けるためにも作業時間は多めに見積もるものです。作業量だって状況によって違うのに時間や報酬を交渉できないのはおかしいと思います」

いずれも一理ある。しかし、それほど不満があるなら、エリクラを利用しなければいいのではないか。私の問いかけに、シンジさんは「やらなくて済むならやりたくないですよ」と返した。

「あなた方はこの条件でやるんですか?」

シンジさんの年収は200万円ほど。このうち4分の1はエリクラからの収入だという。両親と同居しているのでなんとか暮らせているが、肩身は狭い。また、業界大手の「おそうじ本舗」や「くらしのマーケット」の参入により、清掃の仕事の報酬相場は下降傾向にあるといい、「スキマバイトで収入を補うしかない」と話す。

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