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便利な「無料AI翻訳」なぜ仕事で使うとヤバいのか リスクは入力した情報の二次利用だけではない

東洋経済オンライン / 2024年10月25日 8時0分

便利な無料のAI翻訳サービスを使っている人は多いだろう。しかし、ビジネスで活用するにはリスクが大きいという(写真:tadamichi/PIXTA)

グローバル化が進みAIの活用が叫ばれる中、AI翻訳サービスを利用して仕事をするビジネスパーソンが増えている。

【グラフ】驚きの結果→仕事で無料のAI翻訳サービスを使っている人の割合

「われわれの2022年調査では、定期的に仕事で外国語の読み書きが必要だと回答したビジネスパーソンは25~30%ほど、そのうちAI翻訳を使っている人はほぼ100%に達していました。ここまでビジネスの場に浸透しているAIサービスは、過去に例がないと言えるでしょう」

そう語るのは、みらい翻訳CRO(Chief Revenue Officer)兼翻訳DXチーフエバンジェリストの瀬川憲一氏だ。

機械翻訳は1950年代から研究が進められてきたが、長らく実用レベルには至らなかった。それがAIの進化に伴い急速に精度が上がり、さらにはニューラル機械翻訳という手法の登場によって、2019年頃からAI翻訳は一気にビジネスシーンに浸透したという。

「現在のニューラル機械翻訳の主流はトランスフォーマーというモデル。皆さんが翻訳をするときにお使いになっているAI翻訳サービスのほぼすべてに、この仕組みが使われています」と、瀬川氏は説明する。

「無料AI翻訳サービス」の思わぬ落とし穴

AI翻訳サービスには、無料のものと有料のものがある。実は翻訳の品質に関してはあまり差がないが、セキュリティ面で大きな差があるという。「サービスを無料で提供する側の目的は、広告収入や課金への誘導だけではない」と瀬川氏は指摘する。

無料サービスでまず注意したいのは、情報漏洩リスクだ。翻訳のために投入された文章が、AIの学習に二次利用されているという。

「無料のAI翻訳サービスを提供する企業の多くが、ネット上にある情報を徹底的にクロール(収集)してAIに学習させる方法を採っていますが、それだけでは学習量が足りないので、翻訳の精度を上げるために皆さんが投入した文章を取り込んでいます。利用規約を読めばわかることですが、無料と引き換えにこちらの情報を企業に渡しているのです。今のところ、無料サービスの利用によって被害を被ったという事例は確認されていませんが、だからといってみだりに情報を入力してはいけません」

自分はたいした情報を扱っているわけではないからと気軽に無料サービスを使っている人も多いかもしれないが、実際には重要な情報を入力してしまっている場合がある。例えばメール文の翻訳は注意が必要だ。同社の2023年調査では、自社名や取引先名、オンライン会議のURLやパスワードなどを含めたままメールの内容を入力してしまっているケースが散見されたという。

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