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「事業撤退→年2000万個」チーズデザート成功の訳 ひとりの社員の熱意が、会社を動かした

東洋経済オンライン / 2024年10月25日 8時40分

「QBBチーズ」などの商品で知られる六甲バター。近年は「チーズデザート」が「糖質量が少なく罪悪感が少ない」と人気で、年間2000万個を突破するヒット商品に成長している。会社を動かしたのは、情熱あふれる、ひとりの女性社員だった(編集部撮影)

QBBチーズ(以下、QBB)というブランドで、長年プロセスチーズのシェアNo.1※を維持する六甲バター。前編と中編では、バラエティ豊かな商品を生み出し続ける原動力となっている、組織や経営のあり方を解説した。(※インテージSRI+ベビーチーズ4個市場2023年1~12月累計販売個数)

【画像10枚】社内では「売れへんちゃうか」との声もあったが、今では看板商品に成長したQBBの「チーズデザート」

後編では、QBBのなかでも近年稀に見る大ヒットを記録した、「チーズデザート」の成功と開発秘話に迫る。

「罪悪感の少ない」リラックスシーンのパートナー

ダイエットや糖質制限が、女性を中心に多くの人の生活の中にある現代。前編で、それゆえチーズの需要が高まっていると書いた。活用のシーンは、もっぱら、間食やおつまみ、そして食事だが、QBBはその範疇をデザートまで拡大している。

【画像10枚】「年間2000万個」を販売する、QBBのチーズデザート。社内では「売れへんちゃうか」との声もあったが、今では看板商品に成長した

ケーキのような味わいで満足感の高い6Pチーズ、その名も「チーズデザート」シリーズを展開し、40~50代の女性を中心に人気を集めているのだ。購入者に選んだ理由を聞いてみると、「糖質量が少なく罪悪感が少ない」という声が多いそうだ。

つまり、チーズデザートは免罪符的な存在。しかも、1つ15gの小分けなので、「欲しいときに欲しい分だけ食べられて便利だ」という声も上がっている。

それらの意見を聞いて六甲バターは、パッケージの表に糖質量を大きく入れた。種類によるが、1個2.4~3.5g。ちなみに、ショートケーキひと切れの糖質量の目安は約28.6gだ。大きさが違うので単純な比較にはなるが、糖質量は約1/9~1/14だ。

その一方で、「気負わなくて簡単に食べられるけれど、ちょっとした贅沢さや満足感が味わえる存在」という意見もあるそうだ。「こんなふうにおっしゃるお客様にとってチーズデザートは、『ひと息ついて息抜きできる存在』『リラックスシーンのパートナー』といった存在なのではないかと考えています」と、六甲バター マーケティング本部長の黒田浄治さんは話す。

年間2000万個を突破する、お化けヒット商品

もちろん、他社でもカップ入りのレアチーズケーキや、クリームチーズのフルーツ味などは出している。だが、6Pチーズのスタイルで販売しているのはQBBと、追随したもう1社のみ。その手軽さは、他社とは一線を画している。

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