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もう無理!運動の限界を決める「脳のメカニズム」 パフォーマンス最大化する「覚醒ゾーン」とは?

東洋経済オンライン / 2024年10月25日 8時0分

運動時の「もう無理」という限界やパフォーマンスを大きく左右するのは、実は脳だった(写真:bino / PIXTA)

筋力トレーニングやマラソンなどで体に負荷をかけ続けていると、「苦しい」「つらい」「もうやめたい」という気持ちが出てくる。「この運動中の“苦しい”という感情が限界を決め、パフォーマンスを大きく左右する」と、順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科の和氣秀文教授は言う。

【写真を見る】「運動すると集中力やモチベーションが上がる。仕事で疲れてきたときには軽い運動がおすすめです」と話す和氣秀文教授

つらくて運動を中断してしまうメカニズムやパフォーマンスを上げる方法など、運動と脳の深い関係について和氣教授に聞いた。

「自律神経」がなぜ運動に関係するのか

――「もう苦しいからやめたい」といった運動の限界はどうやって生まれるのか、脳のメカニズムについて研究をされているそうですね。

私の専門は生理学で、とりわけ関心があるのが脳や血液循環(心臓や血管)のしくみです。生活習慣病のなかで患者数がいちばん多い高血圧症は運動で改善するが、それはなぜなのか。

あるいは、長時間の運動や強度の高い運動をすると、なぜ疲労感(苦しみ)が起きるのか。運動の限界やパフォーマンスに影響する、脳内メカニズムを解明するための研究をしています。

運動をするとき、人は筋肉を動かします。動かし続けるためには酸素とエネルギー源を筋肉に供給する必要がありますが、それらを運ぶのが血液です。

安静時は、筋肉を流れる血液量は全体の20%ほどですが、運動時には80〜90%まで上がります。また、そもそも心臓が押し出す血液の量も増えます。

こうした血流をコントロールするのが「自律神経」。自律神経は全身に張り巡らされていて、その中枢は脳と脊髄にあります。

体を活動的にさせる「交感神経」と、体をリラックスさせる「副交感神経」に分けられ、心臓や胃など全身のほとんどの器官の働きを制御しています。

運動時に心拍数が増え、血管が収縮し血圧が上がるのは、自律神経のうち交感神経の働きによるものです。

「苦しい」と感じると疲労物質がたまってくる

――運動と「神経」という言葉を聞くと、まず運動神経を思い浮かべる人が多いと思います。自律神経も筋肉の動きに大きく関わっているのですね。

運動神経は手足の筋肉を動かしたり、声を出したりする司令を脳から届けるもので、自分の意思でコントロールが可能です。

一方で自律神経は自分の意思でコントロールできないもので、目の遠近調節や血液循環、消化、発汗などを無意識のうちに調整しています。筋肉を動かし続けるためには、血液の循環を調整している自律神経の働きが欠かせません。

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