福島原発事故、「現代の田中正造」は何を訴える 1審だけで9年、「井戸川裁判」傍聴記(後編)
東洋経済オンライン / 2024年10月25日 7時40分
「原発事故が起きて国家が無法を働き、道理が届かない世界になった」
井戸川はしばしばそう嘆く。
その一途な姿は、日本最初の公害・足尾鉱毒事件で、国家の無法と闘った明治期の義人・田中正造と重なる。
示談金と中間指針、遊水地と中間貯蔵施設、谷中村と双葉町……。名ばかりの償いで国民を欺き、被害者にさらなる犠牲を強いて、すべての幕引きを図る非情な国策は100年以上が経っても何も変わらない。そして純粋でありすぎるがゆえに、周囲から人が離れていった田中正造と井戸川克隆も酷似している。
国家の働いた無法は、政府の公文書や裁判の判決文によって歴史に刻まれるものではない。たとえ独りになっても現場から離れず、矢尽き刀折れても闘い抜いた義人の生きざまを通してのみ語り継がれる。
渾身の訴えも聞き届けられず、生きる術を貶められたこの日の尋問は、井戸川克隆という原発事故を象徴する義人が受けた苦難の1ページとして歴史に刻まれる。=敬称略=
日野 行介:ジャーナリスト・作家
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