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わずか1週間で閉店「りゅう社長」"撤退劇"の真相 「話題作り?」との声もあったが実際は全然違った

東洋経済オンライン / 2024年10月25日 8時30分

「話題作りだったのではないか」「間借りの店だったのではないか」など臆測が飛び交っているが、これが浅草店の閉店の真相である。

値段も1000円→680円に大きく下げた

そして閉店翌日の9月1日から鎌倉店の内装工事に入る。浅草店の失敗を考えると鎌倉で上手くいくはずはないと思うところだが、もうりゅう社長は引くには引けなかった。

浅草店オープンの頃から考えていた「ラーメンの食べ歩きを文化にしたい」という思いと、失敗で得た教訓から地元の人にも好まれる店にしようという決意のもと、オープン準備を進めていった。「安くて早くて旨い」という駄菓子屋感覚で寄れる店を目指してお店作りを始めた。価格は680円とこの近辺では類を見ない安さに設定した。

「近年ラーメン1杯『1000円の壁』という話が持ち上がり、1000円を超えるのがカッコよくて当たり前という風潮があると思います。今後1~2年すれば多くの店が1000円を超える価格設定になっていくと思います。ここに逆張りで680円のお店が来るのは面白いだろうと考えました。

1000円だらけの中に680円が飛び込めば勝てるかもしれない。得意なSNSも駆使しながら、街中を揺らしていきたいという思いです」(りゅう社長)

「とびっこ東京」はワンオペでもできるようにレシピが組まれており、人件費がまず抑えられる。さらにオペレーションが簡単なので誰でもできるというのも大きい。

失敗を糧に、地域の人にも愛される店づくりに立ち返る

また、将来的にはフランチャイズ展開もしやすいように設計されている。テイクアウトだけでなく、スタンディング、席ありのお店、立ち食い蕎麦スタイルなどいろいろな展開も考えられる。

「まずはなんとしてでも鎌倉店を流行らせねばと思っています。デジタルとアナログの両方を駆使して、地域の人もしっかり取り込めるように動いていきたいと思います。

文化を作るのは時間もお金もかかりますが、最終的には“運”の要素も大きい。しばらくは『鈴の木』と『とびっこ東京』の2つの軸を大事にしながら戦略を練っていきたいと思います」(りゅう社長)

あまり世の中には知られていないが、人気店の店主たちの中にも「1軒目は失敗し、2軒目で成功した」「新ブランドが、最初は上手くいかなかった」といった経験を持つ人は少なくない。そして、中には失敗の後に経営を諦める人もいる。個人事業主や、会社経営者である彼らにとって、店を出すということは、人生を懸けた大勝負なのである。

だが、りゅう社長には、抜群のマーケティング力と商才がある。8年間で11軒ものお店が閉店した「ラーメン屋の墓場」と呼ばれた物件で大成功を収めた彼なら、今回の失敗も糧に変えてくれるのではないか。

事実、りゅう社長は「とびっこ王子」と名乗り、再びSNSや動画に多数出演し始めている。お店が当たるまでは「とびっこ王子」のプロモーションに集中していく予定だ。新たな文化を作ることに果敢にチャレンジするりゅう社長の今後に期待したい。

過去の取材記事はこちら:8年で11軒閉店「ラーメン屋の墓場」で繁盛した必然 「日本一アンチが多い」店主は何を考えてきたか

井手隊長:ラーメンライター/ミュージシャン

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