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青山に潜む"築50年の秘密基地"今も衰えぬ人気 圧倒される中庭と内部、都会の静かな仕事場

東洋経済オンライン / 2024年10月26日 8時0分

仕事場として快適さを感じられる一方で、思い切って省略したものもある。

キッチンはついていない

「住戸にはガスが通っていないのでキッチンがなく、小さな水回りがあるのみです。電気ポットでお湯を沸かすことはできても、室内で調理はできません。住戸によっては当時まだ珍しかったユニットバスも付いています。ビラ・モデルナは、住居ではなく、仕事場として活用しやすい空間にデザインされています」(新槇さん)

ビラ・モデルナはセントラルの給湯システムで、蛇口をひねるとお湯は出る。ユニットバスをのぞいてみると、空間は非常に細くコンパクトだった。壁の丸みや艶から、洗練された雰囲気が感じられる。仕事場にバスルームがあると、泊まり込みの日や仕事の合間に汗を流したいとき、出張のときの宿泊にも重宝するだろう。

ちなみに、中庭側の住戸をはじめビラ・モデルナの部屋の多くは、屋根に当たる部分に窓がある。上から光が入り、室内に開放感がもたらされる。

部屋にこもって仕事をしたり、ロビーや中庭で来訪者と打ち合わせをしたり、自由に使いこなすことができる。

気になるのはビラ・モデルナの“居住者”だ。

都市・建築プロジェクトプランナーの真壁智治さんは、ビラ・モデルナに40年以上仕事場を構えてきた。この仕事場を、レジデンスとオフィスの「レジデンシャルオフィス」と表現する。

「ここを拠点にどう活動するか。どう使っていくか。住まいはオンとオフを切り替えるけれど、ここはずっとオンの状態。オフィスだけだとリラックスできないでしょう。レジデンスだけでは、だらっとしちゃう。レジデンシャルオフィスのここには、ほどよい緊張感とリラックス感がある。秘密基地のような場所です」(真壁さん)

青山にある「秘密基地」

青山通りから1本入った静かな場所にある秘密基地。朝早く来る人もいれば夜遅くに戻ってくる人もいる。部屋はシンプルなワンルームだが、共用部も合わせて、空間を自分のものとして使っていく。家やオフィスだけでは満たされないものがある、画期的な場所だったと真壁さんは振り返る。

では、これまでどのような人が利用してきたのか。やはり土地柄、クリエイターが多いようだ。

「カメラマンやスタイリスト、イラストレーター、コピーライター、エッセイを書く人もいましたね。コーディネーターや建築家など、クリエイターが好んで入っていました」(真壁さん)

そして時代とともに入居する層は広がっていく。1990年代になると、音楽関係の人も増えた。サウンドクリエイターが部屋をスタジオとして使うこともあったという。

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