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「大谷ハラスメント」と騒ぐ人たちに欠けた視点 "煽るメディア"と"怒る視聴者"が心がけたいこと

東洋経済オンライン / 2024年10月26日 9時30分

それはSNSの発達で匿名での発信が増え、テレビのような巨大メディアは批判を受けやすくなる中、このレベルの不満で戦略を変えていたら十分な収益が得られずビジネスが成立しづらくなってしまうからです。

また、「大谷ハラスメント」と実名を絡めて不満の声をあげることは、逆に大谷選手から見たハラスメントに該当しかねない行為。書き方によっては「嫌」「不快」にとどまらず誹謗中傷となり、名誉毀損が成立してしまう危険性もあるでしょう。

ただそれ以前に、個人の名前を勝手に使ってハラスメントを訴えること自体がモラルを問われ、自分の生きる社会をゆがめていく行為。たとえ匿名の書き込みだとしても自制が求められ、他者にも求める社会でありたいのではないでしょうか。

ワールドシリーズは最大でも残り7試合で終了し、盛り上がりは収まっていくわけですから、「1週間あまりの期間をスルーすればいい」というだけの話。同じスポーツのビッグイベントでも、オリンピックやサッカーワールドカップなどよりも期間が短いだけにこの程度をスルーできなければ、本当に「なんでもハラスメント」の生きづらい世の中になりかねません。

テレビ放送だけでなくネット記事もできるだけスルーし、「大谷ハラスメント」などとあおる見出しに乗せられて負の感情に流されないようにしたいところです。

この「スルー」はテレビ放送やネット記事だけの話でなく、職場や学校、飲食店や街頭などで大谷選手の話題が増えたとしても、「見ていないので」「知らないんですよ」とひと言伝えて切り抜ければいいだけでしょう。

リアルタイム視聴の大切な客を軽視

最後にもう1つふれておきたいのが、メディアのあるべき姿。

21日の緊急放送と人気番組の放送休止は、ひとえに「そのほうが視聴率獲得が期待できる」から行われたものでしょう。他局以上に視聴率獲得にシビアでマーケティングに長けた日本テレビが緊急放送したところに期待のほどがうかがえました。

「多くの人々に喜んでもらいたい」という大義名分もあるのでしょうが、一刻を争う緊急事態ではないのに人気番組を休止する以上、批判の声があがることはわかっていたはずです。

それでも緊急放送を決行したのは、やはり「大谷選手がリーグ優勝を決めたタイミングなら視聴率が取れる」という基準によるものでしょう。より利益につながりそうな選択をするのはビジネス上、当然の行為ですが、一方でメディアとしての信頼性が薄れかねないリスクを感じさせられました。

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