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「大谷ハラスメント」と騒ぐ人たちに欠けた視点 "煽るメディア"と"怒る視聴者"が心がけたいこと

東洋経済オンライン / 2024年10月26日 9時30分

「見たいものを、見たいときに、見たい場所とデバイスで見る」ことが当然になり、テレビ番組もTVerなどで見る人が増える中、今なおリアルタイムで見てくれる視聴者は貴重な存在。

視聴率獲得につながり、ネット上の書き込みも期待できるなど、テレビ局にとっては重要なお客さんだけに、緊急性のない緊急放送と人気番組の放送休止は失望や怒りの感情を生むだけでしょう。

そもそも「不満の声があがるのは日本テレビの番組を楽しみにしていた人がいる」からであり、ファンサービスで応えて顧客満足度を上げるのがビジネスとしてのセオリー。もしそれが難しかったとしても、目先の結果を追う「視聴率ファースト」ではなく「視聴者ファースト」の姿勢も見せていかなければ大切な視聴者を失っていくでしょう。

「野球ハラスメント」のリスクも

これは試合中継だけでなく、日々放送されている報道・情報番組やワイドショーなども同様。すでに「視聴率が取れるから」と大谷選手の特集に放送時間の多くを割くことは「視聴率ファースト」であって「視聴者ファースト」ではないことに気づかれている感があります。

逆に大谷選手の活躍で盛り上がっているときだからこそ、「視聴率獲得を狙って扱いを増やすばかりではなく、扱うべきものをバランスよく構成できているか」、メディアとしての役割を問われているようにも見えます。

他の競技も含め国内外で活躍しているアスリートは多いうえに、事件・事故・災害・選挙などのニュースもあり、各番組の構成がバランスを欠いていることに辟易する声があがるのは当然でしょう。

同じ26日から日本プロ野球の日本シリーズもスタートし、「朝から昼にワールドシリーズの生放送、夜に日本シリーズの生放送とワールドシリーズの再放送」と、1日に3回2度も野球中継があることで、「野球ハラスメント」というフレーズが浮上するかもしれません。

野球ファンや大谷選手のファンにしても、自分の好きなものが批判を受けてしまうのは残念ではないでしょうか。

今回の件で「大谷選手ほどのスーパースターでも、緊急放送や大量特集などが絶対的に許されるわけではなく、必要以上に扱うことで不満をぶつけられてしまう」ことが明らかになりました。だからこそメディアも、懸命にプレーする大谷選手にネガティブな影響を与えない放送や報道を心がけてほしいところです。

木村 隆志:コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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