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丸亀製麺CM「うどん"すする音"」で炎上の世知辛さ 人気CM「永谷園のお茶づけ」は許されていたのに…

東洋経済オンライン / 2024年10月26日 9時0分

一方で、視聴者の潜在意識は容易には変わらないところもある。あからさまには言われていないが、「若い女性が音を立ててうどんを食べている」と違和感を抱いた人もいるのではないだろうか? 例えば、上戸彩さんが運動系部活の男子高校生に入れ替わったとしたら、同じような批判を集めただろうか。

今回の件を見ていて思い出したのが、1985年に公開された伊丹十三監督の『タンポポ』という映画だ。本作は「食」をテーマにした、異色映画だが、この作品の中に、レストランでのマナー講座のシーンがある。

講師が音を立てずパスタを食べる方法を伝授しているが、その横では外国人が音を立ててパスタを食べている。それに影響されて、全員が音を立ててすすり出す。このシーンは、形式にとらわれがちな日本人、外国人に同調しやすい日本人を風刺したものだ。

しかしながら、「パスタはフォークで巻いて、すすらずに音を立てないで食べる」というのがマナーであり、一般的でもある。なお、日本ではスプーンを添えてパスタを巻くのは一般的だが、海外ではそうではないようだ。

一方で、日本では、そばやうどんを音を立てながらすすって食べることはマナー違反ではなかった。落語を見ていると、大きな音を立てて麺類を食べるしぐさをするシーンはよく出てくる。

何度も批判された「クックドゥ」のCM

筆者が日本茶の広告の仕事をしていたときに、勉強も兼ねて茶道教室に通っていたことがある。そこで、「最後の一口は音を立てて吸い切るように」と教えられて、驚いた記憶がある。「おいしくいただきました」という合図の意味があるとのことだが、「音を立てて飲むのがお作法」というのは、違和感があった。

お作法やマナーは文化によって違うし、グローバル化が進んでいるからといって、無理に標準化する必要もないのではないか。

「郷に入っては郷に従え」で、パスタを食べる際にはフォークで巻いて食べるように気を付けるべきだと思うが、日本で和食の麺類を食べるときは、音を立ててすすってもよいだろう。

CMの話題に戻ると、味の素の「クックドゥ」のCMシリーズは、おいしそうな食事のシーンが出てくるが、過去に何度も批判を浴びている。食べる音だけでなく、他の批判を受けることもある。

たとえば、2011年のCM。家族で麻婆茄子を食べている際に、子役の杉咲花さんの手元にあるケータイの着信音が鳴る。杉咲さんがそれをちょっと確認して音を止め、食事を続けるシーンがあった。

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