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「受験商売」多くの親が洗脳される怖いカラクリ 東京だけでなく地方でも問題は多発している

東洋経済オンライン / 2024年10月27日 8時1分

宗教2世の問題と全然違うのが、受験ビジネスの場合、初めから子どもをターゲットに親を洗脳しているところです。洗脳という言い方が正しいのかはわかりませんけれども、親をビジネスの世界に巻き込んで、走るのは子どもというのが受験の世界です。子どもの自主性を育てることが何より必要だとこれだけ言われている時代に、子どもを早くから塾に入れて受験競争の中にはめ込んでいく手法が現代の中で通用してもいいのかは、考え直さなくてはいけないと思います。

生きるうえで必要な力は、スポーツや遊びでも育まれる

――子どもが身につけるべき力は、中学受験の勉強では養われないということでしょうか?

大前提として、僕自身は受験や勤勉さがいけないなんて思っていません。それはそれで重要なことです。しかし、そこから得られる能力というのは、生きていくうえで必要な全体的な能力のごく一部にすぎないということです。

例えば、今の時代に必要な力はコミュニケーション能力だったり、多様性に適応できる柔軟性だったり、深い共感性だったりと言われていますよね。中学受験の勉強は果たしてそれらの力をつけるために有効ですか?っていったら、必ずしもそうじゃないですよね。スポーツや自由な遊びや文化活動のほうがよっぽど効果があるでしょう。

僕が危惧しているのは、今の受験勉強がかなり低年齢化していることです。勉強が好きな子が小学校6年の1年間だけ遊ぶのを自粛して、受験勉強に打ち込むならいいと思います。しかし、今はそれが小学校2年生や3年生からやりましょうとなっている。家庭によっては保育園・幼稚園時代から知育、英会話、公文をやらせて、そのうえで小学校に入ってすぐに塾に行かせることもあるでしょう。つまり、小学生時代のほとんどの時間を中学受験のための勉強に使うことになる。これでは、生きるうえで必要な全人的な力を育んでいるとは言いがたいですよね。

また、親に「どのような子になってほしいですか?」と聞いたら、ほとんどの人が「優しい子」とか「思いやりの持てる子」などと答えますよね。「自分なりの幸せを見つけられる子」という答えもあるかもしれません。それ、小学時代の大半を受験勉強に費やして育つんでしょうか。なかなか難しいですよね。つまり、親だとか社会だとかがこういうふうに育ってほしい、こういう能力が必要なんだということと、中学受験のために今やらせていることが必ずしも一致していないということが起きているのです。

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