なぜ「インタビュアー林修」は"神回"を生めるのか 『日曜日の初耳学』総合演出・田中良憲氏インタビュー
東洋経済オンライン / 2024年10月27日 12時0分
「学び」につながる出演者の言葉を、トーク番組という形で、視聴者にわかりやすくして届けるのが我々の仕事です。森岡さんの場合は『USJを再建させた立役者』、柴田さんの場合は『ウチカフェ(ローソンのスイーツブランド)を手掛けた』という一つのキャッチがあります。視聴者の方々との“接点”を作ることを大事にしています」(田中氏)
ゲストが驚く林修氏の「予習力」と「聴収力」
そんな「インタビュアー林修」では、登場するゲストが「こんなことまで調べてきたんですか⁈」と、林氏がゲストについて徹底的に“予習”してくることに驚くという。
林氏は、過去の作品、著作等にすみずみまで目を通すなど、事前準備を徹底的に行ってから収録に望むという。そうした「予習力」をベースに、相手の本音や奥底に眠っていた言葉をインタビューの現場で聞き出す「聴収力」が本番で炸裂する。
かつて俳優・歌手の上白石萌音氏の回では、彼女が大事にしているお祖母さんの話題がでた際、著書を「このページですね」と開いて見せたり、ミュージシャンのゆずの回では国立国語研究所が発表したヒット曲『虹』の歌詞についての論文を引用して話を展開したり。
脚本家・三谷幸喜氏の回ではマニアックな歴史上の人物トークでひたすら盛り上がったりと、独特かつ深みのあるインタビューを繰り広げてきた。
「林先生は、現代文の講師なので本や資料を読むスピードが異様に速いんです。僕だと4時間くらいかけて読む本を45分くらいで読んでしまう。だから人よりも知識を脳内にインプットして、さらに筆者が本の中で何を言いたいのかという核心にも到達されるのではないかと」(田中氏)
田中氏は、林氏は相手の本音を聞き出すためにある行為を探っていると言う。
「林先生は番組の進行や流れをあえて無視して、僕が『次、行きましょうか』と合図を出しても、全く違う話をし続ける時があるんです。ゲストにインタビューしながら、どこでゲストのスイッチが入るのかを探しているのだと思います。
林先生は『一番熱を込めて話しているトークが絶対に面白い』という考えなので、それを引き出すために収録時間が延びてしまうこともあります。でも、林先生がスイッチを探し当てた時は、一気にトークの熱量が上がって、爆発的に面白くなります」(田中氏)
『初耳学』チームの巧みな「編集力」
大物ゲストのキャスティング、相手の本音を引き出す林氏のインタビュー術、そうして引き出されるカリスマたちの本音と名言――。それらを視聴者にしっかり届く形に編集してまとめあげるのが田中氏を筆頭とした『初耳学』チームだ。
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