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そこそこ健康な89歳「共同生活を選んだ」深い理由 老人ホームやシェアハウスとも違う「終の住処」

東洋経済オンライン / 2024年10月27日 12時0分

血縁関係もなく、気の合う仲間同士のシェアハウスとも違う、高齢者たちの共同生活。おでんせの場合、居住者11人のうち半数近くが小森さんのように一人暮らしだった人がほとんどだ。

個室の広さは約17畳でバス、トイレ、キッチン付き。10室のうちペット可の4室は独立したゾーンに配している。また隣り合う居室の場合、間にランドリースペースと吹き抜け等を配置しているので、隣室の生活音が漏れ聞こえることはまったくない。

「お部屋にいれば完全に一人暮らしの世界。ベースは共同生活ですけれど、四六時中、皆で集まって何かしているわけではありません。共同生活のルールは毎日のお夕食、誕生日会と月に1回の居住者会議への参加だけです。

誕生日会は主役のご本人が食べたいものとケーキをリクエストできるんです。それこそステーキでも鰻でもお寿司でもなんでも。ワインもつきます。皆でごちそうを食べながらお祝いして、楽しい宴ですよ」

そのほかに、毎週もしくは隔週で同好会の活動もある。手芸・編み物や折り紙、フラワーアレンジメント、カラオケ、お茶などさまざまな会があり、居住者が講師も務めて楽しんでいる。

月1でオーナー夫妻が主催する朗読会もあり、それぞれの活動には居住者の友人など外部の人が参加することもあるのだという。

「終の住処」に求める3つの条件

入居9年目。軽やかに館内を案内してくれる小森さんは、89歳という年齢にはとても見えない。まだまだ一人暮らしも続けられそうだが、住み替えを決めたきっかけは、マンションの階段の上り下りがきつくなってきたことだったという。

「エレベーターのないマンションの3階に住んでいたのですが、75歳を過ぎた頃からだんだんきつくなってきましてね。それでやっぱり自分に嘘はつけないなと思いました」

この先、もっと年をとれば足腰が立たなくなってくるかもしれない。買い物にも行けなくなったら、一人暮らしの自分はどうやって生きていくのか?

「階段の上り下りくらいで? と思う方もいるかもしれませんが、独り者の私は、結局動けなくなったら誰かの世話にならなければいけないわけです。そう遠くない将来図をきちんと考えておかないと、人生の最終章で周囲の人たちに迷惑をかけてしまいます。それは私が一番避けたいことですから。

万が一、体の自由がきかなくなってきたら、誰かに一方的にお世話になるのではなく、必要な介護サービスを受けながらも、できるだけ周りの人と助け合って自分らしく生きていきたいんです」

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