1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

そこそこ健康な89歳「共同生活を選んだ」深い理由 老人ホームやシェアハウスとも違う「終の住処」

東洋経済オンライン / 2024年10月27日 12時0分

こうして小森さんの終の住処探しが始まった。条件は3つ。

愛猫のんちゃんと一緒に暮らせること、階段の上り下りがないこと。そして、自由に自分らしく暮らせること。

自宅か施設かという2択のうち、マンションの1階に移り住むという選択肢はなかったので、介護サービス付き有料老人ホームやシルバー分譲マンション、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など、あらゆる高齢者向け施設を見学して回った。

“そこそこ健康な一人暮らし”の高齢者にちょうどいい

入居金数千万、月額利用料数十万という高級老人ホームは設備も充実していたし、共有スペースは高級ホテルのよう。月額利用料には手厚い介護サービスが組み込まれて、さまざまなアクティビティやイベントも用意されているが……。

まず大前提として、とてもじゃないが自分の年金では入れない。だが、それ以上に痛感したのは、至れり尽くせりの受け身の暮らし方は自分には合わないということだった。

年金で入れるリーズナブルな施設もずいぶん見学した。居室が7〜8畳で隣室とは壁1枚。見学中も隣室の鼻をかむ音が聞こえた。また、そのほとんどがペットの同居は不可。

サ高住は居住性がいい施設は交通の便が悪かったりする。階段の上り下りがなくても街に出るのは大変だろう。

介護サービスという安心を手に入れるためには、気ままな生活空間や住み慣れた街での暮らしなど、今まで自分が築いてきた自由な人生の諸々を手離さなければいけないのか。

“そこそこ健康な一人暮らし”の高齢者にちょうどいい住まいはどこにある? 「老後の不安」とはまるで自分との先物取引のように思えた。

「平均寿命が延びてどんどん高齢者が増えていくのに、日本は大丈夫なのかって心配になりました。これは本当に大変だぞって。何が不安で何が大事か。遠くない将来図を見定める自問自答の日々でした」

その当時、小森さんは終の住処探しと並行して在宅療養中の姉のもとに1日おきに通って、姉の家族とともに身の回りのサポートをしていた。

小森さんは姉の日常を見ながら、人の手や目がほどほどに行き届くならば、必要な介護サービスだけ利用したら案外自分らしく暮らし続けられることに気がついた。しかし問題は、自分には姉のように同居の家族や子どもはいないことだ。

70歳から80歳までの10年で現れる「肉体の変化」

そして終の住処探しが3年目になったある日、姉の自宅のポストに入っていた「グループリビング、オープン」のチラシで、おでんせに出会ったのである。偶然の出会いだった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください