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給食の「あの定番デザート」作る中小企業の"強さ" 超ロングセラー・アップルシャーベットの舞台裏

東洋経済オンライン / 2024年10月28日 8時30分

学校給食のデザートとして、43年の歴史を持つ「アップルシャーベット」。最近ではBtoC領域にも進出しているが、製造しているのは福島県のとある中小企業だ(筆者撮影)

アップルシャーベットをご存じだろうか? 学校給食のデザートとして多くの子どもたちに長年親しまれてきたデザートで、発売から43年のロングセラー商品である。

【画像10枚】学校給食の超ロングセラー・アップルシャーベットはこんな風に作られている

手掛けているのは福島県にあるトーニチ株式会社。アップルシャーベットは長年学校給食でしか流通していなかったが、最近は自社ECサイトでの販売のほか、福島県内の道の駅やファミリーマートでも販売されるようになった。BtoC領域にも進出してきている。

“給食のアップルシャーベット”はどのようにしてBtoCに乗り出すことになったのか、また誕生の背景や味の秘密について、代表取締役社長の岸秀樹氏に話を伺った。

りんごのフレッシュ感がおいしさの秘密

―誕生の経緯を教えてください。

私の父の代、1981年にアップルシャーベットの生産を開始しました。開発のきっかけは、問屋からのリクエストだったと聞いております。

【画像10枚】「千葉、埼玉県民にはおなじみ?」「酸味と甘味のバランスが最高!」…。学校給食の超ロングセラー・アップルシャーベットはこんな風に作られている

まず大前提として、学校給食用デザートは何百食、何千食という単位で必要なので大量納品に対応できる商品でなくてはいけません。今でこそゼリーやプリン、焼き菓子など給食デザートは多種多様ですが、昭和50年代当時は冷凍みかんぐらいと限られていたようです。

そこで「冷凍みかん以外のデザートを作れないか」と相談されて開発したのがアップルシャーベットだったようです。

製法、りんごの品種…様々なこだわりがある

―どんな風に作っているんですか?

東北産の紅玉という品種のりんごを皮付きのままカットして、特殊製法でシロップを染み込ませて作っています。

りんごには小さな穴が無数にあって、大きな玉のような機械にりんごと温度60℃のシロップを入れて、圧力をかけたり抜いたりしながらこの穴の部分にまでシロップを浸透させて作っています。

―果物の内側にもシロップの甘みが染み込んでいるんですね! 

シロップの甘みとりんごのフレッシュ感がおいしさの決め手です。熱を加えると缶詰の煮りんごと同じ風味になってしまうので、60℃のシロップを使う工程以外では加熱していません。

紅玉を使っているのもポイントで、酸味がしっかりしているので、シロップの甘さと引き立て合うんですよ。これが生で食べておいしいふじなどの品種だと、ただ甘ったるいだけのメリハリのない味になってしまいます。

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