「戻ってよかった」"出戻り転職"がうまくいくコツ 50代の「出戻り」が歓迎されたのには理由がある
東洋経済オンライン / 2024年10月29日 7時20分
「おい、お前が課長かよ! 出世したなあ! 昔は俺が面倒を見てやったのに」
などとマウントをとるようなことはご法度。新入社員と同じとは言わないが、過剰なほど謙虚な姿勢で出戻るぐらいでちょうどいい。頭角を現すのは、職場に馴染んでからでいいのだ。
50代の出戻り社員が大成功した事例
ここで、50代で出戻り転職し、大成功を収めたDさんの事例を紹介しよう。
Dさん(52歳)は大手製造業で24年勤務したあと、47歳で退職。ベンチャー企業で5年間、新規事業の立ち上げに携わった。その経験を買われ、52歳で元の会社に出戻った。
「50歳を超えたら、一気に転職先の幅が縮まる。まさか出戻りさせてもらえるとは思わなかった」
とDさんは胸をなでおろす。「出戻り採用」を決めたのは、以前の部下だ。この部下はDさんに仕事を教えられ、部長にまで上りつめた。いつか恩返ししたいと心に決めていたため、
「可能なら、前の職場に戻りたい」
とDさんから申し出があったとき、二つ返事でOKを出した。それどころか、彼自身もかねての念願がかなったと喜んだ。このケースは、まさにウィンウィンだったといえよう。
Dさんの成功の秘訣は以下の3点だ。
(1)良好な人間関係の維持
出戻り転職には、何よりこれが最も大事だ。Dさんは退職後もずっと前職の人間関係を大切にしてきた。かつての後輩から「相談があります」と言われたら喜んで駆けつけた。忘年会には呼ばれなくても、
「今から2次会があります。顔を出しませんか?」
と誘われたら、遅い時間でも足を運んだ。家族ぐるみで休日を過ごしたこともある。離職していた5年間、1年に2~3回のペースでコンタクトをとり続けた。このように、関係を維持し続けたことがとても大きいだろう。
(2)明確な目的意識
Dさんが会社を離れたのは、「スタートアップ企業を立ち上げた知人の社長を助けたい」という気持ちがあったからだ。もちろん長年お世話になった会社を離れるのはつらかったが、それ以上に社長の信念に心を打たれた。
単なる「居場所探し」ではなく、強い意志を持っていたことは、当時の仲間たちも理解していた。何度も話し合いの場を持ったからだ。
そして転職した企業を離れると決意した理由もまた明確だった。転職先は社長をはじめ、ほとんどの社員が20~30代で構成されていた。事業が順調に拡大し、技術の承継も十分に果たせたと考えたタイミングで、50歳を過ぎた自分がここにいてはいけないと判断したのだ。
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