「サブウェイ」なぜワタミに?利点3つ考えてみた 「オーダーが難しい」問題は改善できるのか
東洋経済オンライン / 2024年10月30日 14時0分
3.FLRコスト削減につながる
店舗のオペレーションにおいてもう1つ重要なのがコストコントロールである。特に、コストの高騰が進み、利益が出づらい経営環境になっている今、その視点は非常に大切だ。
そこで重要になるのがFLRコストにほかならない。FはFood(原材料費)、LはLabor(人件費)、RはRent(家賃)を指していて、一般的な飲食店の場合、FLRコスト比率は70%が目安だと言われている。
とはいえ、サブウェイはファストフード業態なので、70%に収めるのが難しい。そもそも立地はある程度いいところに出さざるを得ないので、Rの家賃を抑えるのが難しい。そのため、Fの原材料費と、Lの人件費をうまくコントロールしていく必要がある。
その実現のためにも、ワタミと一緒になったメリットが発揮されるのではないか。まず原材料費でいうと、ワタミは自社農園のワタミファームを中心に、生産者とも連携しながら有機農業に力を注ぐ。
昨今野菜の仕入れ価格が高騰する中で、質の高い野菜を安定的に確保できるメリットは大きい。その他の食材についても、両社合わせて500店舗近くの体制になるため、これまでよりもスケールメリットが働き、コストを押し下げる効果を発揮するだろう。
外国人人材を活用しやすくなる?
もう1つの人件費については、人手不足の問題と切っても切り離せない。現在、外食業界では人が採用できないので、高い時給で募集せざるを得なくなっており、それが人件費の高騰に結びついている。店舗を拡大していく際、適正な人件費の中で、いかに人手を確保していくかは大きな課題になる。
その点、ワタミは傘下で人材サービス事業も手がけており、特に海外人材の紹介にも、かなりの強みを持つ。もともとサブウェイでは多様な国の人材が活躍しているので、そうしたリソースを活用できるメリットは小さくない。外国人材の確保を人族に進めることができたら、その分、店舗の拡大もスムーズに進むだろう。
ただ、懸念点がないわけではない。特に企業文化の統合がうなくいかなった場合、これまで述べたようなシナジー効果が発揮されないまま、店舗数が伸びあぐねることも考えられる。
ワタミは、創業者でもある渡邉美樹氏の強力なリーダーシップで成長を遂げてきた企業だ。同社は理念を大切にしているが、その中心にも「創業の思い」がある。
サブウェイはボトムアップ型で伸びてきた
一方で、サブウェイは経営権が変わりながらも成長できたのは、ボトムアップ型の組織だといえるだろう。実際、採用情報サイトの「Brand objectives」には「サブウェイに携わる一人ひとりが「感動を生む」行動を起こし続ける。」という言葉がある通り、それぞれの自主性を重んじた文化が根付く。
しかし、そもそも日本の居酒屋と、外資のファストフードなので文化は違って当たり前である。3000店舗という大きな目標の達成のためにそれをどう乗り越えいくだろうか。
三輪 大輔:フードジャーナリスト
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「サブウェイのワタミ」へ大転換、脱居酒屋の衝撃 現在の稼ぎ頭は宅食事業、65歳渡邉会長の本気
東洋経済オンライン / 2024年11月3日 7時45分
-
「ワタミ×サブウェイ」は“健康志向”でファストフード業界を脅かす存在に⁉︎ 異例の大型買収を決断したワタミの狙い
集英社オンライン / 2024年10月30日 7時0分
-
ワタミの日本サブウェイ買収で克服できる「弱点」 日本で3000店舗の展開に役立つワタミの強み
東洋経済オンライン / 2024年10月27日 8時20分
-
ワタミ 「サブウェイ」日本事業を買収 ファストフード事業に本格進出
食品新聞 / 2024年10月25日 16時23分
-
ワタミ、「サブウェイ」展開 日本法人を買収、店舗拡大へ
共同通信 / 2024年10月25日 13時16分
ランキング
-
1クリスマスケーキに異変…『卵』の価格高騰止まらず 夏の猛暑の影響で今後は鳥インフルエンザによる卵不足の恐れも
東海テレビ / 2024年11月21日 21時22分
-
2食用コオロギ会社、破産へ 徳島、消費者の忌避感強く
共同通信 / 2024年11月22日 1時18分
-
3為替相場 22日(日本時間 7時)
共同通信 / 2024年11月22日 7時0分
-
4業績悪化の日産、アメリカでの希望退職に1000人が応募か…世界で9000人削減方針
読売新聞 / 2024年11月21日 22時2分
-
5さすがに価格が安すぎた? 『ニトリ』外食事業をわずか3年8カ月で撤退の原因を担当者に直撃「さまざまな取り組みを実施しましたが…」
集英社オンライン / 2024年11月21日 16時49分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください