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深谷で「映画と珈琲」を楽しむレトロ散策のすすめ 酒蔵建築や映画ロケ地で「時空を旅する」気分に

東洋経済オンライン / 2024年10月31日 8時0分

左:七ツ梅(ななつうめ)酒造跡地の歴史ある建築、中央:同敷地内のカフェ「50 COFFEE & ROASTERY」の手作りプリン、右:全国で唯一の酒蔵を改装した映画館「深谷シネマ」(写真:左右は永見薫撮影、中央は50 COFFEE & ROASTERY提供)

国内・海外旅行が再び熱を帯びている。旅行をするときに、あなたは観光地に何を求めるだろうか。グルメ、ホテル・旅館の雰囲気、行き先の地ありきなどなど……さまざまなものがあるかもしれない。例えば、その街の歴史やカルチャーに魅せられる旅はいかがだろうか。

【写真を見る】深谷シネマに並ぶ山田洋次監督や故・樹木希林始め、数々の映画監督や俳優のサイン

そんな旅の目的地として、埼玉県深谷市の酒造跡地を活用したミニシアターとカフェを紹介する。歴史ある趣深い建物や、レトロな雰囲気を味わえる映画のロケ地など、文化の薫りを楽しめること間違いなしだ。では、訪ねてみよう。

300年の歴史ある酒蔵跡地で映画作品と文化に浸る

埼玉県の北西部に位置する深谷市。東京の中心部から電車で約2時間ほどの距離のため、史跡ツアーなどで訪れる人も増えている。

この地で20年ほど前から取り組んでいるのが七ツ梅(ななつうめ)酒造跡地の活用だ。江戸時代1694年に、近江商人・田中藤左衛門(たなかふじざえもん)が創業した酒蔵である。

創業以来300年の歴史があり、県内でも1、2を争う老舗蔵元だったが、惜しまれながら2004年に廃業。その後空き家になっていたが、現在は市民たちの手によって活用されている。

【写真】席数57席ほどの深谷シネマではゆっくりと映画を楽しめる。カフェ「50 COFFEE & ROASTERY」とそこで味わえるフローラルな香りのコーヒーや手作りスイーツも魅力

旧・中山道に面した950坪ほどの敷地には、母屋、店蔵、煉瓦造りの精米蔵や煉瓦煙突などの建物があり、これら建物は現在商店やイベントスペースとして生まれ変わった。11店舗が入居している。

なかでも一際目につくのが、「深谷シネマ」。全国でも唯一の酒蔵を改装した映画館である。グレーの瓦屋根に白壁が印象的な昔ながらの建物。一目見ただけでは映画館とは気づかないかもしれない。ふと目をやると木目が残る看板にミントグリーンの豪快な文字で「深谷シネマ」と記されている。看板でさえ、まるで風景の一部のようだ。

中に入ると、明るく白壁に覆われた心地よい空間が広がり、所々に蔵の柱が残っている。左手には市民スペースがあり、右奥には57席のシアタールーム。チケットカウンターをふと見上げると、そこに並ぶのは数々の映画関係者のサイン。

吉永小百合や故・樹木希林などのサインも目にすることができる。俳優らの言葉の数々からは、深谷シネマへの愛情がじわりと滲み出ている。

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