ヤリス/ノート/フィットに透けるメーカー事情 3車に見た「トヨタ/日産/ホンダ」強みと弱み
東洋経済オンライン / 2024年10月31日 8時40分
逆に、コンパクトカーの車種数が少ない日産とホンダは、ターゲットを幅広くとり、実用性を大切にしているといえる。
この実用性という点で、特に評価したいのがフィットだ。後席シートにチップアップ&ダイブダウン機構を備えており、シートバックを倒したときの荷室との段差も小さい。
また、前席シートの背面には、後席乗員のためのスマートフォンを収める小さなポケットが設置されている。細かな気遣いが、利便性を高めているのだ。
スポーティ/安定・安心/バランス
今回の試乗車は、すべてハイブリッドだった。しかし、それぞれの仕組みは異なる。
ヤリスは遊星ギヤを使うトヨタ伝統のハイブリッド方式であり、ノートのe-POWERはエンジンで発電してモーターで駆動するシリーズ式、フィットはシリーズ式を基本としながらも、高速域でエンジンの直接駆動を使う。
同じハイブリッドながら、仕組みが違うため、走りのフィーリングも3車それぞれだ。
ヤリスのハイブリッドは意外にもレスポンスがよく、エンジン車に近いフィーリングだった。
ハンドリングもクイックで、キビキビとしている。それでいて、燃費性能のカタログ値は35.4km/L(WLTCモード)と、3車の中でもっとも良い。さすがハイブリッドの元祖、トヨタのクルマである。
ノートは、エンジンの存在感が小さく、まるで電気自動車(BEV)のよう。
スムーズさと静粛性が印象的だ。ハンドリングは、もっとも鷹揚だが、操舵に対する反応が一定でわかりやすい。ただし、燃費性能はFFモデルで28.4km/L、4WDで23.8km/L(WLTCモード)と、ヤリスには届かない。
フィットは、ヤリスとノートの中間といったところ。モーター駆動とエンジン駆動の両方を上手にミックスしている印象だ。燃費性能は29.0km/L(WLTCモード)であり、実際の燃費もノートとそれほどの差はなかった。
ハンドリングも“スポーティなヤリス”と、“落ち着きのノート”の中間といったところだ。まとめると、スポーティなヤリスに、安定・安心のノート、そしてバランスの良さが光るフィット、である。
見えてきた、それぞれの強みと弱み
3モデルを比較試乗して感じた、それぞれの強みと弱みは以下のようなものだ。
ヤリスの強みは、長い時間をかけて磨きあげてきた遊星ギヤ式のハイブリッドの出来の良さにある。燃費が良いだけでなく、走りのフィーリングも良好だ。
車種数の多いトヨタだからこそできた、「スポーティで小さなクルマ」というとがったキャラクターもヤリスの強みだろう。
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