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セブン「上げ底疑惑」で社長発言がマズすぎた理由 言い方や、他企業との比較も悪手でしかなかった

東洋経済オンライン / 2024年10月31日 18時10分

たとえば、この説明では「実際の内容量より多く見えるパッケージデザインが施されているのではないか」といった指摘に対応できていない。上げ底疑惑は、あくまでも消費者がセブンに対して抱いてきた不信感のあらわれのひとつであり、指摘を受けてきた商品は他にもあった。今回の発言では、サンドイッチのように、加熱を前提としない商品への疑惑には触れられていないのだ。

それらに対する具体的な否定材料を示さないまま、一方的かつ総合的に「事実ではない」と断じて、ネットユーザーのモラル低下に着地させてしまうことは非常に危険だ。実際にSNS上では、「根拠のない断言」との読後感を覚えたユーザーからのコメントが散見される。

「他社商品との比較」が不信感につながる

これらの観点から考えると、永松氏による一連の発言は、消費者の要求を満たしている回答とは言いづらい。むしろ、セブン側が「一部ネットユーザーが騒いでいるだけ」と認識しているような印象を覚え、どことなく殿様商売のような雰囲気を感じさせてしまう。

一貫して「他社商品と比較して、“上げ底”といえるのか」といった論旨を展開したこともマズかった。ネットで疑惑を投稿する人々は、他社商品ではなく「過去のセブン商品」と比較しての実感から拡散している。そもそもの比較対象が異なることも、「本質に気づいていない」「論点ずらしだ」と悪印象につながりかねない。

百歩譲って、こうしたネットの風評が、その一部分のみトップへ伝えられていて、回答に足る前提知識が共有されていなかった可能性もある。これは永松氏に対してのみならず、「歴代トップへと伝えられない理由」があった可能性は否定できない。

しかし、仮に現場から情報が上がってこなかったとしても、経営者は消費者の反応に敏感であるべきだ。それこそSNSであれば、いつでもスマホひとつで情報収集できる。いかなる理由があったとしても、悪評には敏感になっている必要があっただろう。

「疑惑の否定」ではなく「新たな提案」を打ち出す

セブンは全国2万1000店を超える一大流通チェーンだ。セブンへの疑念は、小売業全体への疑念につながるほどの影響力を持っていることを忘れてはいけない。あらゆる弁当や総菜が「どうせ上げ底だ」と諦められる前に、とれる手段はあるはずだ。

しかしながら、社長が「否定」コメントを出しても、なお疑念がうずまいている現状を打開するには、どのような手を打てばよいのだろう。やはり、企業側から進んで「比較」をする必要があるのではないか。

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