松下幸之助の成功の根源にあった独自の死生観 「命をかける」の「命」に対する見方が一般とは異なる
東洋経済オンライン / 2024年11月1日 15時0分
現代で会社の上司が部下に向かって幸之助と同様の発言をしたら、パワハラであると指摘される可能性もある。幸之助は明治生まれの人間で、戦争の時代を生き抜き、戦後も大きな困難を経験したことから、厳しさが人を育てるという意識が多分に強いことは否定できない。
「命」とは「生命力」
ただ、幸之助の世界観の次元に降り立って考えれば、「命をかける」の「命」に対する見方が一般とは異なることに注意されたい。
幸之助にとっての「命」とは「生命力」のことである。幸之助によれば、人間にはそれぞれ、「宇宙根源の力」によって個別に与えられた生命力を生かしていく、すなわち天分や天命に生きることが求められている。
そして、「お互い人間というものは、自分の天分、持ち味を生かし切るとき、初めてほんとうの生きがいや幸せというものが味わえる」と述べているように、天分を「生かし切る」までに生かすことで初めて生きがいが生まれてくるというのだ。
「生かし切る」とは、「命をかける」、あるいは幸之助の別の表現を用いれば「使命に殉ずる」ことである。幸之助からみれば、事業部長の2人は、天分をまだ生かし切っていなかったのだ。
川上 恒雄:PHP理念経営研究センター 首席研究員
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