「上司が休まないと休みにくい」会社の共通点2つ 有給休暇「取らない」ではなく「取れない」の背景
東洋経済オンライン / 2024年11月1日 8時10分
日本のビジネスパーソンは、休日を「休息」の時間と考えて、体を休めたり、ストレスの発散を心がけたりしていますが、必ずしも思い通りにはなっていません。休みが明けても、疲れは依然として残ったままと感じている人がたくさんいると思います。
一方、世界の一流は、休日を「何もしない時間」と考えるのではなく、「積極的にエネルギーをチャージする時間」(休養)と「知的エネルギーを蓄える時間」(教養)と位置づけています。世界の一流の休み方を知って、休日の解像度を上げることは、自分の休み方を見つめ直すきっかけになります。
マイクロソフトで役員を務めた越川慎司氏の新刊『世界の一流は「休日」に何をしているのか』をもとに、3回にわたり解説します。
忙しくて休む暇がない…
日本企業で「働き方改革」の取り組みが本格スタートして5年が経ちましたが、日本のビジネスパーソンの働き方は、どのように変わったのでしょうか?
2019年の労働基準法の改正によって、残業は原則として月45時間、年360時間を超えてはならない……という時間外労働の上限規制が設けられました。その結果、何が起こったかといえば、企業は「残業の削減」ばかりに目を向けることになり、「残業ができなくなって、逆に仕事が忙しくなった」と感じている人が増えています。
働き方改革の目的は、「労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会の実現」にありますが、現時点では、十分な成果は出ていません。
労働政策研究・研修機構の調査(2021年)によると、日本人の年次有給休暇の取得率は「56.6%」にとどまっています。残業時間は制限されても忙しいことに変わりはなく、休日も増えていない……というのが、日本のビジネスパーソンの実情です。
上司が休まないと休みにくい風潮
日本のビジネスパーソンが有給休暇を「取らない」→「取れない」背景には、日本企業に「上司が休まないと休みにくい」という雰囲気や風土が色濃く残っていることも深く関係しています。
20代の若手社員には、職場の空気を読まず、積極的に休みを申請する人が増えていますが、中堅以上の場合は、そこまでドライに割り切ることができません。
ある程度、社歴が長い人ほど、上司に気を遣ったり、チームリーダーの顔色を見て、「休めるかどうか?」を見極める傾向が強くなります。
そうした状況判断に対して、多くの上司が「責任感の現れ」と前向きに受け取っているため、「休める状況でも休めない」という状況を生み出しています。
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