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フジ「新人アナいじり」が許せないという人の盲点 被害者と加害者は誰か、本質が見落とされている

東洋経済オンライン / 2024年11月1日 18時0分

その理由は主に以下の3点。

1つ目は、上垣アナがメディアの出演者であり、さらにお天気キャスターデビューのタイミングだったこと。メディアの出演者は顔と名前を覚えてもらうところからスタートしますが、その際、出演者やスタッフからさまざまな形で盛り立ててもらい、番組の一員として認識されていくというステップを踏んでいきます。

上垣アナでいえば入社した4月の段階から新人らしからぬ落ち着いたたたずまいと言動がフィーチャーされ、動画で問題視されている発言につながる流れがありました。つまり、「まずはこのキャラクターで視聴者に顔と名前を覚えてもらい、現場の共演者やスタッフにも溶け込んでいこう」というコミュニケーションの入り口としての要素があったのです。

動画の前からキャラが浸透していた

また、上垣アナがどんなに落ち着いて見えても、当時は入社3カ月程度の新人。さらに兵庫県生まれで大阪の大学に通っていたため、東京での生活がはじまったばかり。技術や経験の差に加えて、すでに関係性が構築されている東京の現場に後から入ることは簡単ではないでしょう。

本人が緊張していたかどうかはわかりませんが、動画を見る限り、3人の先輩アナは「緊張をほぐしてあげよう」という意味も込めてあのような言葉をかけた様子が伝わってきました。

もともと生放送におけるCM中の会話には「本番での緊張をほぐす」「表情や口元をゆるめる」などの意味合いもあり、「デビューとなる上垣アナのために沈黙を避けよう」という意図が感じられます。もちろん違う言い方もできたでしょうし、その点は多少の指摘を受けても仕方がないところでしょう。

問題視されているやり取りがCM中だったことを「裏でイジめている」と批判している人もいますが、3人の先輩アナは動画用のカメラで撮られていることはわかっていたのではないでしょうか。また、それ以前にスタジオの出演者たちには「つねに見られている」という意識があり、本当に「イジリ」「イジメ」をしたいのならスタジオの外でするでしょう。

「イジリ」「イジメ」と断罪するには無理がある2つ目の理由は、上垣アナのキャラクターが局内外ですでに知られはじめていたこと。

前述したように入社の段階から、ベテランのような落ち着いた声と振る舞い、髪型とメガネ姿などが番組やネット記事でたびたび採り上げられていました。

また、上垣アナ本人も、「銭湯での長風呂、AMラジオを聴く、地形図を見ながら街歩き(高低差のある地形を偏愛)」などの渋い趣味を語ったほか、教員免許、防災士、二級小型船舶免許、酒類販売管理者の資格取得を明かすなど、新人アナのイメージを覆すような姿を見せています。

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