フジ「新人アナいじり」が許せないという人の盲点 被害者と加害者は誰か、本質が見落とされている
東洋経済オンライン / 2024年11月1日 18時0分
本人に聞いてみなければわかりませんが、もしかしたら「外見もそんなキャラクターに合わせて自分で選んでいる」という可能性もあるでしょう。
同じ動画で語られた称賛の言葉
もちろん実力や真摯な姿勢もあるでしょうが、そんな異色のキャラクターも加わって、上垣アナは27日の衆議院選挙特番「Live選挙サンデー 超速報SP」の深夜部門で開票キャスターを務めました。選挙特番では史上最短での起用であり、期待のほどがうかがえます。
そんな上垣アナのキャラクターは、すでに視聴者の中にも知っている人がいたくらいですから、先輩アナ3人が認識していないわけがありません。先輩アナウンサーは面接や研修にかかわることも多く、上垣アナほどの個性を見過ごすとは思えませんし、「本人も前面に出しているところをあえて口にすることでアシストしようとした」とみなすのが自然でしょう。
少なくともYouTube動画とはいえ、わざわざカメラの前で「イジリ」「イジメ」をするほど3人の先輩アナはメディアの素人ではないはずです。
今回の動画は一部を切り抜いて拡散されていますが、3人の先輩アナは上垣アナに温かい声もかけていました。放送後のコメントでも、生田アナが「よかったですよね」、西山アナが「すごい落ち着いてたよ」、生田アナが「ベテラン。声が仕上がっている」、阿部アナが「本当に何とも聞き取りやすいなと個人的には感じました」とコメントしていました。
これらも問題視されているコメントも、同じYouTube動画用のカメラで撮られたものであり、一方だけを切り取って「裏の顔」とみなし、「イジリ」「イジメ」と決め付けるのはアンフェアでしょう。
「イジリ」「イジメ」と断罪するには無理がある3つ目の理由は、前述した2つの理由をスルーし、自分の価値観に置き換えようとする姿勢が見られること。
「イジられて本人は嫌がっている」「イジメられても『NO』とは言えない立場」などと先輩アナやフジテレビを批判している声が散見されますが、それは上垣アナ本人が言ったわけではなく、あくまで第三者の推測にすぎないでしょう。
過剰な反応で失われる成長機会
そもそも「イジリ」「イジメ」が成立するかどうかは本人が決めるべきもので、「こう思う人が多い」という数の論理ではありません。性格、価値観、立場などには個人差があり、特にテレビの出演者を自分のそれらと比べるのは難しいところがあります。
「みんなそうだから」「これくらい常識」「今はそういう時代」という免罪符のようなフレーズをつけて「イジリ」「イジメ」と断定する声も目立ちますが、これらを使う人ほど当事者の心理を考えず、自己肯定感がにじみ出る傾向があります。
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