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人気「ミックス犬」誕生の裏にある切なすぎる運命 「唯一無二の存在」と主張する人に言いたいこと

東洋経済オンライン / 2024年11月2日 7時50分

大型犬×小型犬の交配は、人工交配をしなければありえません。

極端な大きさの違いは、産まれる子犬の骨格形成に問題が生じる可能性が高くなります。何が起きてもおかしくないほどの体格差での交配は、厳に避けるべきです。

先天性疾患や障害を抱えるリスクも

■毛色の掛け合わせで障害を抱えるリスクがある

皮膚や毛色をつくる「メラノサイト(色素細胞)」は、胎児期の耳や目、副腎、神経系の形成に大きく関わっていて、この細胞に関連する遺伝子の異常は、ときに障害を引き起こすことがあります。

例えば、単色同士の「白×白」「黒×黒」、多色の「ブラウン×ブラウン」「アプリコット×アプリコット」など、同系色の交配がベストとされています。しかし、異なる毛色の掛け合わせによっては、視覚障害が起こる可能性があります。

また、持っている遺伝子が重なると、心臓疾患などの先天性疾患や障害を抱えるリスクが高まることもあります。

特にミックス犬の交配では毛色を十分に考慮していないことが多く、問題が発生しています。

■望んだ外見的特徴が出ない個体も生まれる

「個性的で可愛い子が産まれてくるだろう」と期待して交配しても、望んでいる外見的特徴が出るとは限りません。上顎と下顎のサイズが違う、歯並びがガタガタ、長毛と短毛が入り交じって生えている……など、さまざまなケースがあります。

このような販売できない容姿の個体を、産まれてすぐに首をひねるなどして命を奪う悪徳ブリーダーもいます。

■ミックス犬の繁殖は法の抜け穴だらけ

ミックス犬は交雑種なので、血統書はありません。誕生日の偽装が容易なため、法律で定められた「56日規制※」をすり抜け、若年齢で販売しているケースがあると耳にしています。健康上に問題が生じても、「ミックスだから何が起こるかわからない」ですませられます。

※改正動物愛護管理法では、生後56日を経過しない犬や猫の販売、販売目的とする引渡し・展示が禁止されている。

また、環境省令の「数値規制」では、雌犬の生涯出産回数は6回まで、交配年齢は6歳までという繁殖制限がありますが、血統書がなければ誰が母犬かわからず、それらもごまかすことが可能になります。

悪徳ブリーダーにとって、ミックス犬の繁殖は「法の抜け道」だらけです。そもそも、純血犬種の繁殖をしている「責任あるブリーダー」は、ミックス犬を作出することはありません。

その犬種を心から愛し、血統、犬種標準、健康を重視しながら、健全に繁殖し、後世につなぐ努力をしています。受け継がれてきたものを崩す行為は絶対にしません。

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