人気「ミックス犬」誕生の裏にある切なすぎる運命 「唯一無二の存在」と主張する人に言いたいこと
東洋経済オンライン / 2024年11月2日 7時50分
トイ・プードルの繁殖歴40年以上のブリーダーのKさんは、「ミックス犬と耳当たりのいいネーミングで呼ばれて高値で販売されているが、以前は管理不足で生まれてしまった子犬。これを認めることは、管理不足を容認するようなもの。いまミックス犬を繁殖しているブリーダーの多くは、“人気があるので売れる”と考える利益優先のブリーダーだ」と話します。
すべての犬が「唯一無二」の存在
実際、交配をする場合には、母犬の健康上のリスクはないか、無理な交配ではないか、親から遺伝病を引き継ぐ可能性がないか、NGな毛色の組み合わせではないか、妊娠中に母犬に過剰な負担がかからないか、帝王切開になるリスクがないか……といった配慮が必要です。
しかしながら、知識や経験、モラルが欠けているブリーダーが多すぎると、筆者は感じています。
産まれてきた犬の成長、健康において、ブリーダーが全責任を負う覚悟がなければ、純血犬種はもとより意図的にミックス犬を作出すべきではないと考えます。人為的に無理な交配を行うことは「命の冒涜」であり、倫理的にも慎むべき行為です。
ペットショップやブリーダー紹介(仲介)サイトなどで表舞台にいる大人気のミックス犬の陰には、その舞台に上がることさえできない不幸な犬たちが純血犬種以上に多く存在しているという現実があります。
ミックス犬を「唯一無二」と声高に主張する人がいますが、すべての犬が「唯一無二」です。
そんなうたい文句に惑わされることなく、飼う側も正しい知識を身につけ、どのような犬をどこから迎えることが「人と犬の幸せな共生」につながるのかを、しっかりと考える必要があるのではないでしょうか。
阪根 美果:ペットジャーナリスト
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