【NASA発表】月面着陸、意外すぎる9つの候補地 「アルテミス計画」日本人宇宙飛行士2人も月へ
東洋経済オンライン / 2024年11月3日 13時0分
なので、太陽電池パネルをヒマワリのように常に太陽の方向を向くようにしておけば、電力を安定して確保することができるわけです。
実際には、月の自転軸や地形などの関係から、太陽光が1年中ずっと当たり続ける場所はないものの、年間の8割以上の期間、日の当たる場所はあるそうです。
2週間ごとに昼と夜がころころと変わる赤道面に比べて、月の北極や南極のほうがむしろ「日当たりがいい」といえるのです。
では、なぜ月の北極ではなく、南極なのでしょうか?
月の北極や南極は「日当たりがいい」といいましたが、私たちが日常でイメージする日当たりのよさとは異なります。太陽の光は上から照り付けるのではなく、横から差し込みます。
月面には、クレーターという凹凸があちこちにあります。月の北極や南極にあるクレーターの穴のなかでは、太陽の光がまったく差し込まない場所が存在するのです。
こうした場所は、永久に日が当たらず影になっていることから、「永久影(えいきゅうかげ)」と呼ばれています。
日当たりが悪すぎる場所の近くがいい
永久影は、1年中どころか、何百年、何万年、いや、なんと何億年にもわたって、太陽の光が当たっていない「日当たりが悪すぎる」場所です。
マイナス200℃を下回るようなところもあり、月面でキンキンに冷え続けている場所なのです。
この永久影には、「凍った水」が存在すると期待されています。
月面は、水気のない、カラッカラに乾いた土地です。そこに、なんらかのプロセスで水分子が発生し、キンキンに冷えた永久影にピタッと凍りつき、何億年にもわたってコツコツ蓄積している可能性があるのです。
永久影の領域は北極よりも南極のほうが広く、2018年の研究でも、南極のほうに水が集中していそうな観測結果が出ています。
「スペースXが狙う『100万人火星移住』実現可能か?」でお伝えしたように、月面での水は、一石三鳥にも四鳥にもなる重要な役割があります。
地球から月まで水を運んでいければいいですが、そうすると水1kgあたり1億円もかかってしまいます。金1kgが約1500万円なので、月面での水は金よりも貴重なのです。
人類が月面基地をつくるうえで最もいいのは、年間を通して日当たりがよくて電力の確保ができ、かつ、近くに大量の水がある場所です。
ふだん私たちが住まいを選ぶ際にも、日当たりがよくて、必要なものが手に入りやすい場所のほうがいいですよね。それと同じです。
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