1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

夫婦揃って「退職→1年半の旅」に出た人に起きた事 「人生を効率よく歩んでいかねば」の焦りに直面し…

東洋経済オンライン / 2024年11月3日 9時0分

「『どこにでも旅行できる時代を生きていると思ってたのに、行けないところが出てくるのか!』と、ショックを受けました。もう、『いつか行けたら』なんて言っていられない。『仕事を辞めて、海外に行かない?』って、妻に話したんです」(拓哉さん)

拓哉さんが「いつかまた海外に行きたい」と話しているのも何度も聞いていた詩歩さんにとって、突拍子もない提案ではなかった。お互いに貯めていた貯金もある。幸い、2人とも「もし帰ってきて、働きたかったら戻ってくればいい」と言ってくれる職場に恵まれたこともあり、旅に出ることを決意した。

2人の旅の目的は、その国の暮らしを知ること。観光もするが、それよりも、行く先々の土地の人が何を食べ、どんなことを話し、どんなふうに働き、暮らしているのかを知りたい。だからこそ、短期間であちこち移動するのではなく、「現地にどっぷりつかってみる」スタイルで旅をすることにした。

たとえば、訪れてみて気に入った土地があったら、長期間滞在してみる。可能ならホームステイをして、暮らしを体験。食事はなるべく、市場で現地の食材を買って自炊。さらに、現地の言葉で会話することが大事だと考え、南米に行く際にはグアテマラで2週間、スペイン語の語学学校に通った。

ルートや予算の計画は、きっちりとは立てなかった。その土地に着いてから、現地の人の話を聞き、3日分くらいの計画を決める。どの土地にどれくらい滞在するか、1カ月後にどの国にいるのかも、わからない。円相場も物価も大きく動いていたため、旅の予算も立てようがない。もともとあった貯金から、帰国後に最低限必要な金額だけ残しておくことを決めていた。

価値観を揺さぶる出会い

行く先々でのさまざまな人との出会いは、2人の価値観を大きく揺さぶった。

詩歩さんが印象に残っているのは、グアテマラで出会ったある日本人女性だ。

「スペイン語を学ぶために留学に来ている女性がいました。年齢は21歳くらい。グアテマラに来てから半年くらいだそうで、1人で現地の市場に買い物に行って、ご飯を作って、すっかり現地となじんだ生活をしていて。私たちのことも『なにか困ったことあったら言ってくださいね!』と気にかけてくれるんです。彼女は行動力も自立心もすごくて、影響を受けましたね」(詩歩さん)

拓哉さんが思い出すのは、ペルーのアンデス山脈の麓町、ワラスでの光景だ。

「道端で、大きい風呂敷を持ったおばあちゃんたちが野菜を売っていたんです。そんなには売れていないのを見て、『この仕事で生活していけるのかな?』と心配しました。でも、あとでワラス在住の日本人に聞いたら、彼女たちは持ち家に住んでいるので家賃はかからないし、農作物は自給できるから食べることにも困らない。だから『たまに売れたらいい』くらいの気持ちなのでは、と。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください