稲盛氏が「コピー代2円」と答えた秘書を叱った訳 伝えたかった「労務コスト」と「経営者の視点」
東洋経済オンライン / 2024年11月4日 18時0分
どう答えていいかわからずに黙っていると「1人当たりの生涯賃金は2億円ほどだ。500名採用したのなら、今回、1000億円投資したことになる。お前は経営者としてどう回収するつもりなんだ」と質問されたのです。
優秀な新入社員が入ってくることは当然いいことですが、それを私のように単純に喜ぶようでは経営者としては失格であって、「売上最大、経費最小」という視点からは、大きなコスト増にもなるということを私に伝えたかったのだと思います。
当然、社員の幸せを願い、社員を大切にしなければなりませんが、それを理由に労務費の管理が甘くなっては、経費最小を実現することも、高収益にすることも、企業を成長させることもできません。
それでは、社員を幸せにすることもできないのです。それゆえ、経営をするうえでは、常に労務費に対する冷徹な分析も不可欠だと教えてもらったのです。
ここまで説明してきたことは、稲盛さんから教えてもらった高収益を目指すために必要なことの一部でしかありません。
大切なことは、経営者はどんな苦労があろうと逃げることなく、まずは高収益を目指さなければならないという強烈な思い、願望を持つことなのです。なぜなら、高収益でなければ、全従業員の幸福は実現できないからです。その意味では、高収益を目指すことは、正しい経営をするための第一歩になるのです。
事業を再生させる10のキーワード
では、長年赤字に苦しみ、もう復活は無理だと思われている事業をどうしたら再生できるのでしょうか。
JAL再建はその成功例でもあるので、稲盛さんがJAL会長に着任し、最初に幹部の方々に伝えた10のキーワードを紹介したいと思います。
最初に、稲盛さんは「本当のリーダーとして成長し、再建の先頭に立ってほしい」「自分が立派なリーダーとなり、日本航空を再建させてみせる」という“気概”を持ってほしいと伝えました。
そして、そこで必要なのが“反省”です。稲盛さんは「これまでの日本航空の何が悪かったのか、また自分自身の何が悪かったのか、真摯に反省することだ」とまず伝えました。
その際に大切になるのが、“謙虚さ”です。
プライドの高い人は、悪いのは旧経営陣だ、経済環境のせいだと責任を自分以外に求めたがりますが、そのような姿勢では再生は不可能だというのです。
ですから、「まずは皆さんが謙虚に反省し、自らの非を認めることから再生へのスタートは始まる」と伝えたのです。こうして真摯に謙虚に反省すれば、次に何をすべきかがわかってくる。それは何か。稲盛さんはこう言いました。
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